マット・デイモン主演ジェイソン・ボーン・シリーズの二作目。監督は『ユナイテッド93』のポール・グリーングラス。
面白かった!一作目に引き続きリアルなアクションと心理ドラマの塩梅が素晴らしい。誰もが言うところではあるが、終盤のカーチェイスは圧巻。
「なぜ俺が…?」と困惑しながらも千手先を読むボーンがカッコいい。マット・デイモンはこの役に非常に合っている。
巻き込まれ型サスペンスでもあるが、自分でも出自の分からないボーンが葛藤するスリラーとしてもよく出来ている。
CIAが諸々杜撰すぎないかという指摘は出来るが、それを上回る映像の力に満ちている。ボーンに完全に巻かれたり、カーテンもない部屋で作戦を実行したり、本名でホテルに宿泊したりと穴は目につく。
だがそれもボーンの身に降りかかる悲劇とトラウマで上書きされあまり気にならない。ジェイソン・ボーンが一人の人間として苦悩する様が画になるにカッコいい。
続編『ボーン・アルティメイタム』はアカデミー賞三部門で受賞するなど高い評価を得たが、本作もそれに繋がる二作目として高い完成度を誇っている。今となっては地味な作品ではあるが、ポール・グリーングラスの迫力ある演出が光るなかなかの秀作。