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ボーン・スプレマシーのmickeyのレビュー・感想・評価

ボーン・スプレマシー(2004年製作の映画)
4.3
監督がダグ・リーマンからドキュメンタリー出身のポール・グリーングラスに交代したシリーズ2作目。

監督交代で観るまでは不安でしたが杞憂でした。
というか、アクションの切れ味は前作以上。
また、展開がスピーディなので混乱しますが、事態が飲み込めてくるとボーンとシンクロするように自分の頭も冴えてきたような感覚になります。
EDテーマの『Extreme Ways』を引き続き使用してシリーズに統一感があったことも嬉しかったです。

本作の素晴らしい点はテーマです。
愛する人の命を奪われたボーンが暗殺者に”復讐する”のがテーマですが、ボーンも人の命を奪っていた側なのです。
つまり復讐でもあり”贖罪”の物語でもあるところが本作の肝です。

本来だったらラストに来るはずの事件の真相や黒幕との対峙が、クライマックス前に置かれていてカタルシスを得難い作りになっていますが、恐らく敢えてテーマを優先したのだと思います。
ボーンは復讐を完遂させた後に彼女に会う。
愛する人を奪われた痛みと復讐の苦しみをボーン自身が体験したからこそ、自分が犯した罪の重さを知り彼女と向き合い頭を下げる、真摯なラストだと思います。
ここのマット・デイモンの演技は必見です。

ボーンに翻弄される側もジョアン・アレン、ブライアン・コックスといった演技派が脇を固めているので、非常に見応えがありました(前作のクリス・クーパーも渋かった)。
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