映像は終始、シチリアのカラッとした景色と建物たちで美しい。
田舎の牧歌的なニーノの家族。
ジャンニは自身の性的嗜好から陰湿な嫌がらせを受けたり、母親のパートナーから虐げられている。
2人が恋に落ち、それに嫌悪を見せるそれぞれの家族たち。
ジャンニの母親は、ジャンニを更生施設に入れようとしたり、ニーノの家に「明るい未来」を守るように警告を入れたりする。
ニーノの父親は、ニーノにジャンニを罵る言葉を吐かせ、ジャンニを否定させる。
それぞれの家族は、自分の息子を守ろうと、性的嗜好を否定した。
それは結果的には、ニーノとジャンニ自身を否定する。
美しいシチリアの景色と美しい少年たちが、余計に結末を苦々しいものに際立たせていた。
実話を元にしているという本作。
集団心理という見えない大きな力の怖さを改めて突きつけられた作品でした。