そちらの映画館へ入居希望です

シチリア・サマーのそちらの映画館へ入居希望ですのレビュー・感想・評価

シチリア・サマー(2022年製作の映画)
5.0
顔中の水が流れ出ました。
鼻炎持ちの私は耳鼻科帰りのように水分が一掃され、今では純度135%に。
そう、シチリアに流れる美しい川の水のように。
こっから長いです。(長さを長距離走で例えると42.195キロマラソンくらいです😓良ければ読んで下さい。)

始まりからずっと美しくも残酷な情景が錯誤する。
描写もところどころに細かいこだわりが感じられる。
面白かったのは、男性が戯れるシーン。
その時代の“男性像”を描く様な“男らしさ”満載なシーンでコミカルに。そして観ている側が絵画を眺めている感覚に陥るように映像が挿入されていた。まるで、2人の関係との違いを引き立てているように。
ジャンニの表情もニノと出会ってからキラキラと輝き出す。始まりとは全く別人みたいに変わっていく、撮影の方法もあるのだろうか、本当に別人に見えて驚いた。
そして2人とも美しい。どの描写を切り取っても、シチリアの夏の景色と同じように爽やかで眩しい。
心苦しいジャンニの境遇や2人の関係、それを取り巻く結託し、固執した周囲の理想と環境全てが変えることなんてできるはずもなく、なんとももどかしい。小さな男の子までも、こうして歪んだ思想が形成されていくんだなと思って辛かった。

こういった事件があったことを知るきっかけになって本当に良かった。
なぜなら今もこの問題は続いているから。
国によっては今でも、宗教などで同性愛が罪とみなされている場所があるし、強制的に望んでいない結婚をさせられたりすることが当たり前な場所があることを改めて考えさせられた。
LGBT法案が可決された時も、ニュースでは“性的少数者”という言葉を使っていたし、この言葉に違和感を覚える人はどれだけいるのだろうか。
また、多様性を重視した結果、守られるべき、等しく扱われるべき立場の人たちが逆に危険に晒されているのも忘れてはならない。世の中は変わっていくけど上部だけの機能していない、不完全なものでなく
どんな場所でも正しい方向で、弱い立場にある人が等しく扱われ、純粋な愛が否定されることが無いようにと思います。
人の死や犠牲が無いと誤った思想であるということに気付けないなんて間違ってる。