タナカ

シチリア・サマーのタナカのネタバレレビュー・内容・結末

シチリア・サマー(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

入りは本当に「君の名前で僕を呼んで」と同じような街並み空気感。ルカ・グァダニーノ監督が絶賛したというのも相まってめちゃくちゃ期待値が上がってしまい、良い映画なんだけれども少し肩透かしを食らってしまった気分。
しんどい、2度とやめてくれよこんな事といった感じのシーンがとても多い。少数派が迫害を受けているシーンはいつ見てもしんどい。
時代背景的にも外側からばかりの視点が多く、肝心の2人の心情やらがあまり見えてこない。ラストの部分で泣きそうになるのだけれど、なんか上手く出来すぎていてただただしんどかった。

ジャンニの母は終始子離れのできない母親のように思える。ラストのバイクでニーノが迎えに来たところで子離れが出来、母子共に自立したという隠喩を思わせるようなドアを閉めるカットが印象的。
ドアが視覚的に使われているシーンが多く、さりげなくというより分かりやすく何度もこする。他にも銃で撃つシーンやらもしつこいほどに登場する。

イタリア感が強いけれど、細かなシーンで現代っぽさを感じるので、映像の時代設定とのズレを気持ち感じてしまう。期待していただけに、選曲も他になかったのかな、と思ってしまうほどのアンバランス。
全体的に含みのあるというよりかは、誰でも視覚的にわかりやすく伝える映像というのが主軸な感じがして少しお腹いっぱいになってしまう。
映像が親切すぎて、入り込んだり自分で補足したり考えるまでの余白がない。

最近の映画やドラマでもよくありがちな、ゲイの2人が迫害されて死ぬエンディングが神格化されて消費されているみたいな構図が多すぎて、少しお腹いっぱいになってきている。
たまにはただの別れだったり、幸せハッピーエンドみたいなエンディングも見てみたい。
人をちゃんと好きになって2人とも同じ気持ちである事って本当に奇跡だと思っているので、みんな幸せになってほしい。
タナカ

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