犬は無事です。

2024年3月3日 🇫🇷Microsoft storeからVODレンタル(4.99ユーロ)

母親含めて人間が動物に変異する病気が流行した世界で、自分の在りたい姿とあるべき姿で彷徨うストーリー。
奇抜な設定で有名なフランス映画だが、それを受け入れられる演出が印象的だった。

SF的で派手な設定は現実では考えられないものであるにも関わらず、登場人物の心情が手に取るように読み取ることができる。主人公を男子高校生として、その家族と友人など限られたキャスト数にしたことが場面理解を支えていたのかもしれない。もちろん、それを成立させるための俳優陣の演技力も素晴らしい。
映像技術も素晴らしく、すんなりと受け入れられる。鳥と人間のハーフなど、かなり忠実に表現されて違和感がない。作中でも様々な動物が出てきており、鑑賞後もあんな動物も見てみたいと妄想しているw

終盤の父親が息子に言う「Tu es magnifique.（お前は美しい）」はこの作品の最大テーマであると感じた。"生理的に受けいれない"という日本でよく耳にする表現が、今後の多様化する社会に向けて死語となりうるか刮目したい。

The Animal Kingdom　2023年作品
6/10
トマ・カイエ監督
ロマン・デュリス ポール・キルヒャー アデル・エグザルコプロス
トム・メルシエール ビリー・ブレイン
世界で人間がだんだん動物になっていく奇病が蔓延。
発病した人は隔離施設に送られていた。
主人公(キルヒャー)は高校生で卒業間近で転校。母親が発症したが、施設移送中に
逃走していた。彼女も出来て、楽しい学園生活と思っていたら、自分も体が変化してくる。
獣人を扱った映画だと｢ドクター・モローの島｣を想起するが、本作は人間が変わっていくので、｢ザ・フライ｣怪奇!吸血人間スネーク｣の様な悲劇的なテイスト。
CGによって獣人のクオリティは高く、ラストの自由人大集合は見応えあり。
人種差別問題を一応扱っていて、隔離か共存かみたいなのが語られるが、
大したこといっていない。