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The New Boy(原題)
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『The New Boy(原題)』に投稿された感想・評価

[オーストラリア、アボリジニの少年とキリスト教] 50点

2023年カンヌ映画祭"ある視点"部門出品作。ワーウィック・ソーントン長編三作目。主演も務めるケイト・ブランシェットがプロデューサーとしても作品に関わっている。冒頭はいきなりアボリジニの少年が荒野で白人警官の首を厳重にロックしている場面で始まる。時代は1940年代半ば、少年に名前はない。別の警官に捕まった彼は、辺境にある修道院に引き取られる。修道院はドム・ピーターという神父によって運営されているように見えるが、彼は1年前に死んでおり、今はシスター・アイリーンが代わりに修道院を運営している。死因は定かでないが、粗暴で虐待的だった彼の死は修道院に束の間の安寧を齎しており、アイリーンは彼が生きているように見せるために手紙やサインを偽造している。アイリーンは少年を引き取るが、他の子供たちに比べるとかなり放任主義で育てており、少年もそれに従って様々な場所をフラフラと訪れる。そして、突然やって来た巨大十字架に惹かれた少年は、その上で苦痛に顔を歪めるキリストを幻視してキリストに近付き、それがアイリーンの信仰をかき乱す。少年は超自然的な能力が使えるのだが、洗礼されるとそれが使えなくなることから、アボリジニを西欧ナイズすることのメタファーかと思うが、あまりにも時間をかけすぎているし、シンボリズムとしても些か乱暴すぎると思う。教会に蛇を持ってきたり、キリスト像に服を着せて孤児扱いしたり、という象徴的な挑発が先に来てしまっているようにも見えてあまり感心しなかった。
Toronto International Film Festivalにて鑑賞。プレミア。