ベンジャミンサムナー

憧れを超えた侍たち 世界一への記録のベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

4.0
 自分は滅多にスポーツ観戦をしないが、「アマプラでWBCライブ配信してるならちょっと覗いてみるか…」ぐらいのテンションで眺めてたら準決勝〜決勝の流れで脳を焼かれた。

 映画というフィクションに耽溺してきた自分に、現実がそれを上回る瞬間を見せつけられた。

 映画のような試合を実際に劇場で観れるだけでも良いが、TVで何度も見た名場面の感動を補強する構成になっている。

 選手選考会での栗山監督の「村上には、これからの日本を背負う選手になってもらう」という発言、そして準決勝で先制3ランHRを打たれた佐々木朗希が廊下で泣き崩れる場面からの、村上の逆転サヨナラタイムリー。

 その直前に、吉田正尚の同点3スリーランからさらに点差を離されて日本ベンチが沈んでる中、「はい、準備準備」と穏やかに振る舞ってた大谷が、9回裏でのヘルメット脱ぎ捨てダッシュからの「俺に続け!」と言わんばかりの咆哮に繋がる。

 大会前の壮行試合の円陣での「さあ行こう!」という掛け声に日本語の分からないヌードバーが「なんて言ったの?」と通訳に聞いた後に、自身が円陣でその掛け声を放ったりとか。

エモいシーンの補強だけでなく、シャンパンファイトの前にダルビッシュと近藤が先にシャワー浴びてブーイングされたりとか、大谷が優勝の瞬間に投げ飛ばしたグローブ見失う場面とか、笑える裏舞台も見せてくれたのも良い。

 っていうか、TV中継では気づかなかったけど、大谷も投げる時は結構叫ぶんだな。

 選考会で選ばれた選手には、球団を通してオファーするのではなく、監督自らが交渉したいと言っていたが、実際そうしたのだろうか?だとしたらその場面の映像が観たかったけど。

 ともかく、今年これから公開される映画でも、これ以上のドラマは見られないだろう。