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憧れを超えた侍たち 世界一への記録のjpapaのレビュー・感想・評価

4.8
素晴らしいとしか言いようがない。
大会後にTVの特番はいくつかあったが、どれも同じシーンを繰り返したり、やたら大袈裟なナレーションで盛り上げようとするばかりだが、これは次元が違う。

ほとんどすべてのシーンは選手側、スタッフ側からの視点で、バスの中から沿道のファンを見てそれをスマホで撮影する選手や、何度も繰り返される選手の選考ミーティングの様子と栗山監督とスタッフの緊迫したやり取り、試合中のベンチ裏の選手たちの素顔や言葉の数々。大谷は フェンス直撃のヒットを打った後「くそ~まじか、もう少しだったのに」と悔やみ、佐々木は先制ホームランを打たれた後グラブを叩きつけ、誰も居ない通路の隅で膝を抱えて泣いていたり。源田が指を骨折した直後、指が変な方向に曲がっていて出場を止めるスタッフと「行けます」と頑なにいい続ける源田とのやり取り。汗をぬぐいながら、大谷と甲斐、佐々木と中村が、この球種は相手は待ってない、この球はこう使えば行ける、というようなバッテリー間の生々しい会話まで。
とにかく大会が終わった後でなければ見せられない姿の連続に熱くなる。

そして改めて感じたのは、ダルビッシュのリーダーシップと面倒見と気配りの素晴らしさ、追い詰められた場面でも楽しむような余裕の笑顔と大きな声やポーズとプレーでチームを鼓舞する大谷の圧倒的な存在感、そして何より、監督が栗山で良かったということ。この人はすごい。監督は過去の名選手である必要は無く、頭と心が良くないとだめだなと痛感した。それは優れたコンシェルジュのようなものだと思う。

名前を出して悪いが、以前小久保が監督に選ばれた時に「この人ではだめだろうな」と感じたのは間違って無かった。その意味でイチローも向いてはいないと思う。監督にもコンシェルジュにもカリスマは必要無いということだろう。

話はそれたが、当初からこれだけの映像を撮り続け、ここまで素晴らしい編集を行ったスタッフに心から拍手を送りたい。
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