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春画先生のchiのレビュー・感想・評価

春画先生(2023年製作の映画)
3.6
監督のトークイベント付き試写会で鑑賞させていただきました。

前半は春画について具体的に絵をいくつか見せながら、春画の世界にいざなっていきます。画の中で性的な部分を隠すことで、見えていなかった部分が見えてくる。春画には触れたことがなかったですが、あの隠す見方には興味が引かれました。
後半は春画に惹かれると同時に先生に惹かれていった弓子さんと先生ら男女のもつれのお話。女断ちする先生、なりふり構わず突き進んでいく弓子、異性同性問わず惑わす柄本佑の艶かしさ。そして終盤にかけては予想外の展開に。
でも、塩田監督ということを考えると納得の展開。私は塩田監督の作品は「月光の囁き」しか見ていませんでしたが、はい例に漏れずSMでした。

春画は江戸時代までは皆で見て楽しむものだったそうで、開国してキリスト教などの西洋の文化が入ってきたことで、性に関する倫理観が変わり、恥ずかしいもの、隠すものとなっていったそう。
上映後の監督のトークで、先生は春画の魅力に取り憑かれていながら、実は明治以降の西洋の倫理観に囚われているという解説を聞き、なるほどと思った。
江戸時代には春画はラッキーアイテムだったからペリーが来た際にあげようとしたら、なんというものだ!と激怒されたという話が面白かった。
日本は春画といい日活ロマンポルノといった映画といい、性に関するジャンルでは多くのものを生み出してきたというお話に、ロマンポルノの歴史とかも調べたら面白そうかもと思った。

塩田監督の作品は大衆受けしないだらうし、そもそも狙ってないだろうけど、私は嫌いじゃない。今作も2時間飽きずに見られたけど、コメディと謳っているわりには笑えるシーンは殆どないように感じた。ラストくらい?
「月光の囁き」とかは刺さる人が一定数いそうだけど、本作はかなりニッチな世界かも。

あと、北香那さんは少し前からドラマなどでよく見かけるようになったが、本作での彼女とってもかわいい。こんなにかわいかったっけ?と思うほど。着物やドレスを着ているシーンは本当に綺麗だった。

ユーロライブにて。
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