絶妙に馬鹿馬鹿しいし、絶妙に気まずいし、絶妙に真面目だし、絶妙に美しい。
どういう温度感で観たらいいんだこれ!?
としばらくは戸惑いながら鑑賞していたけど、正しくその落ち着かなさが、春画を鑑賞したときの異物感というか、入り乱れる感情と酷似しており、この映画は「春画」そのものを表現した映画なのだと何となく合点がいった。
この映画の前に観た、「春の画」という春画のドキュメンタリーが上手く補完してくれたのだと思う。
絵作りも格好よく、タイトルバックのシークエンスから強調されるように、遮蔽物(柱、襖、壁、ベッド)を配置した定点のショットが散見できる。この奥の空間を半分ほど隠すチラリズムは、歌麿的美意識と言ってもよかろう(知った風な口を叩いてみる)
特に回転ベッドのシーンが好きで、これには登場人物と同様、口元をハンカチで覆わずにはいられなかった。
登場人物達も、潔癖なキャラクターではなく、面食らう位には手を汚していく。その為、ストーリーの展開が全く読めず、カルチャー賛歌に偏り過ぎないバランス感覚も備えている。
安達祐実の女王っぷりがたまらない。滝廉太郎の「花」歌わせて、「聞こえないよ!!」は爆笑。
柄本佑は色んな作品で「イイ女」を抱いてばかりで凄く許せない。
俺だって……次こそは……次こそはきっと……