幽斎

ワケあり物件 告知事項ありの6階の幽斎のレビュー・感想・評価

3.0
C級スリラー(ホラー)をレビューする、Scavenger第35界。原題「Ascent to Hell」意訳すると地獄への階段だが、Ascentは上を向く、抜け出したいと言う意味も有る。AmazonPrimeVideoで0円鑑賞。

アマゾンから格安の契約で探す事を科せられた日本のトランスワールドアソシエイツも、遂にネタ切れなのか2014年制作と一時代前の産物。本作は深夜枠で放送されたTVムービーで、始めからグロもエロも無いのはお察しレベル。作品の内容はFilmarksのあらすじに隅から隅までずずいーっと書いてるので、私から申し上げる事は何もない。

邦題が大島てるを連想させる心理的瑕疵物件っぽいが、ジャンルとしてはオカルト・ホラーの領域。80分と尺も短いのでスマホ片手にながら見するには丁度良いが、画面から目を離してる隙に物語が進行、しない(笑)。アプリで知り合った女性と初めてランチを食べる位に、時が経つのが遅く感じる。TVムービーなので、下手な自主映画よりも予算は有るので、決してクソ映画と言う訳でも無い。

Dena Hysell-Cornejo監督は当然初見だが、本作でマドリッド・フィルムフェスティバルで作品賞候補に為った。テレビ局的には限られた予算で作品を完成させてくれるので、有り難い存在。スカベンジャーなら、何処かに1つ位はツッコミを入れたく為るが、C級映画愛好家の方も、クソポイントが無いと罵倒出来ないので、寧ろ苦痛に感じるかも。

主演Azura Skyeは一見すると中年オバサン(失礼)、Sandra Bullock共演「28DAYS」、Bruce Willis共演「バンディッツ」、日本の「着信アリ」ハリウッドリメイク「ワン・ミス・コール」出演と年齢に応じたキャリアを誇る中堅女優だが、ホラーなので、もう少し誰か居なかったのかな?。主演に魅力が有れば時が経つのも早いと思うが。

廃墟ビルで心霊現象に襲われるプロットは、日本のホラーPOVが得意とするジャンルで、元祖「ほん呪」とか「封印映像」、最近では「呪われた心霊動画 XXX」の様に有料でも鑑賞に見合う良作も有ったりする。アメリカはジャンプスケアと大音量で怖がらすしか脳が無いので、数は少ないがイギリス産ホラー位しか鑑賞に耐えうる事は難しい。

意図的に(と思いたい)モノクロ時代のホラー映画の雰囲気は、監督の腕が確かなら面白く出来ただろうが、単に廃墟同様古臭いだけで、何も起きないのに面白いモキュメンタリ―の傑作「パラノーマルアクティビティ」の凄さを再認識。TV-14と言う制約は有るにせよ、もう少し演出のお勉強が足らないように感じた。廃墟ビルの雰囲気作りだけで満足して、脚本の精査がお座成りにも見えた。クラシカルな映像とか心霊の殺害方法とか、見所もゼロでは無いが、久し振りに聞いたのがアメリカの諺。一般的にはケチを付けるなと言う意味だが、其処だけ大島てるっぽかった(笑)。

諺で「Gift horse」文句を言わずに受け取る贈り物と言う意味なので、暇潰しに為るかも。
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