ぎー

アポカリプトのぎーのレビュー・感想・評価

アポカリプト(2006年製作の映画)
3.5
【第79回アカデミー賞特集2作品目】
映像表現が凄すぎる。
映像表現が凄い映画は数多あると思うけど、この映画ほど生死を生々しく描いた映画はなかなかない。
そこに、現代ほど生命を重んじない時代設定、僕らがあまり事情をよく知らず間違いなく価値観が僕らとは違うマヤ文明が舞台だという舞台設定も相まって、映画の中で"死"をずっと直近に感じているので、とにかく終始ハラハラする。
一切手抜きしないその描写は天晴れだった。
特に冒頭主人公達の村が襲われ、男は拉致され、女は犯される、一切手抜きなしの描写は本物志向ということでよく出来ていたと思う。

なかなか人生を送ってきてほとんど触れたことのないマヤ文明を舞台にした映画ということで興味深いと思ったものの、調べてみると時代考証は滅茶苦茶なようで。
当然に古代文明ということで一部生命の軽視はあったかもしれないが、文明も野蛮に描写しているようで。
名作に携わってきたメル・ギブソンではあるが、本作ではそういった面ではカトリック主義者たる彼の一面がネガティヴに作用したかもしれない。

映像表現の迫力はすごかった一方、ストーリー面では単調さを感じた。
ここまでアクションに振り切ったのであれば、それこそインド映画『バーフバリ』のように勧善懲悪に走り切っても良かった気もしたが、特段主人公が自らの村を虐げた国を滅ぼしたり制圧したりするわけでもなく、ひたすらに逃げ切って家族を守るところに留まっていたのは、個人的には爽快感が無かった。
ぎー

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