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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊のoimoのレビュー・感想・評価

3.0
2023年下半期公開作品の中で個人的に一番楽しみにしていた、ケネス・ブラナーの名探偵ポアロシリーズ3作目。

思わず溜め息をついてしまう壮麗なロケーションと愛憎渦巻く上質なミステリー、そしてそれを彩る豪華なキャスト陣。聡明で頑固で神経質といういかにもなインテリキャラなのに意外とフィジカル面でもアクティブでちょっぴり涙脆い癖強ポアロ氏が最高に愛おしい、大好きなシリーズです。
監督としてのケネス・ブラナー氏が大好きなのもあって今作にもかなり期待してました。……が……


全然乗れなかった〜〜〜🥲


ストーリーに全く惹かれることが出来ず、眠気との格闘に必死でした…。
全体的に前2作よりかなりスケールダウンしているように感じるとにかく常時黒〜い暗〜い映像に、使い古されたジャンプスケアの多用も相俟って絶妙に安っぽい。音楽のせいかな?途中何回か実写版『岸辺露伴は動かない』を思い出してしまった。
キャスティングも地味な上に前2作で堪能させて頂いたこのシリーズの醍醐味とも言えるロケーションの贅沢さも殆ど感じられず、予算引き下げを露骨に感じてしまったのが結構残念でした。
一番致命的だったのはポアロの探偵引退にも大元の殺人事件にも感情を乗せられなかったこと。個人的にドン引きだったポアロ氏のリンゴペロペロにもちゃんと共感させて貰えるくらい前作冒頭と同程度の時間をかけてポアロ氏の内面に触れて欲しかったし、アリシアや犯人に対して興味を持たせて欲しかった。犯人の動機に対して胸が痛くなる程の同情や共感を感じられた前2作とはそういう部分でも全く別シリーズの作品かってくらい決定的な違いを感じてしまった。

ただ謎解き後の決着の付き方に関しては前作のナイル殺人より好きでした。
亡霊は居たのか、居なかったのか。
見る人によって答えが変わりそうな結末、大好物です。



画面がとにかく薄暗かったけど普通のスクリーンで観たのも敗因な気がする。また配信開始したらテレビで観直してみよう。
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