ノラネコの呑んで観るシネマ

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.3
戦後のベネチアで隠遁生活を送っているポアロが、旧知の作家に誘われてイヤイヤ参加した降霊会で殺人が起こる。
ケネス・ブラナー版の前二作と違ってリメイクではなく、クリスティの晩年に書かれた原作短編も読んでないので新鮮に観られた。
本作のポイントは、現実主義者の名探偵が、自らも数々の超常現象を体験しながら、いかにして幽霊の仕業にしか見えない事件の真相に挑むのか。
原作が短編ゆえか、プロットはコンパクトに引き締まっていて、個人的にはブラナー版ではこれが一番好きかも。
また題材に合わせて演出が完全にホラータッチで、過去作とはだいぶムードが違う。
というかブラナー監督、恐怖演出むっちゃ上手いやん!
まあホームグラウンドのシェイクスピア劇も、ホラー色強目の作品が多いから当然か。
事件解決のネタばらしの所は、ちょっと唐突にも感じるが、上映時間も短くサクッと楽しめる。