旅するランナー

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊の旅するランナーのレビュー・感想・評価

3.9
【女史力】

もちろんアガサ・クリスティー女史の推理小説が原作です。
1969年に発表された「ハロウィーン・パーティ」。
設定を、第2次世界大戦後、ベネチアでのハロウィーンの一夜にしています。

亡霊に取りつかれている屋敷。
大切な一人娘を精神錯乱による自殺、あるいは亡霊の祟りで亡くした、母親が降霊会を開きます。
霊媒師による、娘からのメッセージは「私は殺された」。
時あたかもベネチアに嵐が近づき、屋敷に閉じ込められた、ポアロと招待客たち。
そして、クローズドサークルで起こる連続殺人。
犯人は、この中にいるのか?
あるいは、亡霊の仕業なのか?
ホラーチックな雰囲気の中、ポアロが超常現象の謎に挑みます。

霊媒師には「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」のオスカー女優、ミシェル・ヨー女史が扮し、短いながらも存在感を示しています。
そこは、流石です。

謎解きの面白さも十分堪能できます。
そして、もう一つ印象にの残ったのが、オープニングとクロージングに流れる歌です。
「When the Lights Go On Again」という曲で、ヴェラ・リンによるバージョンです。
第二次世界大戦中の歌ですけど、ヴェラ・リン女史の優しい歌声で、戦争が終わったことへの安堵が伝わってくるようです。

ヴェラ・リン女史は、第二次世界大戦中、イギリス軍が戦っていたエジプト、インド、ビルマで慰問コンサートを開いていて、「イギリス軍の恋人」として記憶されてるらしいです。
戦後もリンの人気は衰えず、2009年、92歳となったリンのベストアルバムがイギリスのアルバムヒットチャート1位になり、存命中最高齢のアーティストによる1位記録となってます。
さらに、2017年、100歳の誕生日を記念して発売したニューアルバム『VERA LYNN 100』も、イギリスのアルバムヒットチャート1位になりました。
すごいパワーを持った女性です。

歌詞もとっても良いので、参考までに載せておきます。
When the lights go on again all over the world
And the boys are home again all over the world
And rain or snow is all that may fall from the skies above
A kiss won't mean "goodbye" but "hello to love"
When the lights go on again all over the world
And the ships will sail again all over the world
Then we'll have time for things like wedding rings and free hearts will sing
When the lights go on again all over the world