木野エルゴ

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊の木野エルゴのレビュー・感想・評価

2.5
探偵業を引退したエルキュール・ポアロは束の間の隠居生活を楽しんでいた。彼の元には常に依頼者が殺到していたが、それらは全て用心棒として雇った男ポルトフェリオによって追い返されていた。そんなある日、ポルトフェリオが例外的にひとりの女性をポワロの元に案内する。ポアロの旧知で作家のアリアドニ・オリヴァだ。彼女はポアロを著名な降霊術者レイノルズ夫人の降霊会に(半ば強引に)参加させる。時はハロウィン、場所は元オペラ歌手のロウィーナ・ドレイクの屋敷。神や霊といった類を信じないポアロは、降霊会で次々と起こる不可解な現象を解いていく。しかしその夜、屋敷の中で思いもよらない悲劇が起こる…


ケネス・ブラナーのライフワークみたいになってるエルキュール・ポアロのシリーズ3作目。なんだか回を増すごとにキャストがハリウッドの有名どころから世界各地の有名どころ(つまり他の国ではあまり知名度が高いといえない)に移行しているような気がする。でも実は1作目の制作費が最も安い。利益率が高かったので2作目を倍額近い制作費で作ったら興行収入が約4割まで下がった。3作目は1作目よりもちょっと制作費を増やして作ったところ、興行収入は2作目よりちょっと少なかった。それでも利益は出てるから、4作目も作るのかな。

どちらにせよ、デヴィッド・スーシェの名探偵ポワロを先に見てしまったので、ケネス・ブラナーはどうしたってポアロには見えない。だからこの「エルキュール・ポアロ」は再解釈の別物だと思ってる。

1作目を見た時も思ったけど、なんか全体的ガチャガチャした感じでゆっくり推理するという雰囲気ではない。というか推理ものとしての驚きや新鮮味があまり感じられなかった。

「SHERLOCK」や「アストリッドとラファエル」でもあったけど、推理物で探偵が霊的なものや宗教的な出来事に出くわすと原因は大体毒物による錯乱だったりする。霊的なものを許容すると推理ゲームの根幹が破綻するからそうせざるを得ない。

個人的にミステリーとしての評価は低いけど、ジュード・ヒル演じるレオポルドの真相とかセミノフ夫人の立ち回りとか好きなポイントはいくつかあった。単にカミーユ・コッタンが好きっていうのもあるけど。他のキャラはあまりパッとしなかったかな。レイノルズ夫人は結末がなんか雑だったので、ミシェル・ヨーを起用しておきながら勿体ない使い方をしおって…と思った。
木野エルゴ

木野エルゴ