Foufou

キング・オブ・クローンのFoufouのレビュー・感想・評価

キング・オブ・クローン(2023年製作の映画)
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かつて幹細胞研究で世界をリードした韓国のファン教授。国民的な人気を誇る最中、決定的な不正が明るみになりあえなく失脚。日本でもSTAP細胞騒動がございましたが、似たようなことがお隣り韓国でも出来していたんですね。浅学にして知りませんでした。

学会を追われたファン教授ですが、転んでもただでは起きません。本作製作時にはUAEの研究所に招聘され、犬やラクダ等々のクローンを生み出す日々。十年前に死んだラクダのクローン再生くらい、いともたやすくできてしまうのですね。野望は消えず、の精力的な科学者の相貌を伝えます。

それにしても驚くのは世界初という偉業に酔いしれる韓国国民の熱狂のありようですね。ヒトのクローンの初期段階の成功に湧く韓国でしたが、一部報道で卵子提供のプロセスに疑義が提出される。すると国民の一部がデモ隊を組んで、かの報道をしたテレビ局を包囲し、いわく「水を差すな」と。で、大勢の女性たちが卵子の無償提供に名乗りを上げ組織化される始末。

科学者として優秀なんでしょうね。でも、核を受け入れる卵が前提になる点がやはり不自由ですね。その点iPS細胞は卵を必要としませんからね。臓器移植を前提とする幹細胞研究ならこちらをメインとするべきだと思うんですけど、どうなんでしょう。クローンのほうがまだ簡単ということなのか。

神の領域を侵犯している、という議論は、私にはピンときませんでした。だってクローンで再生された個体は、やはり本体とは別物でしょ。外観が同じでも、中身まで同じなんて不可能。蘇生とは違います。
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