『キング・オブ・クローン』
原題 King of Clones
製作年 2023年。上映時間 85分。
クローンの王韓国のファン・ウソク博士の凋落：恐怖のNetflixドキュメンタリー。
世界を揺るがせた画期的なヒトのクローン研究から、スキャンダルによる失脚まで。
悪名高い韓国の科学者に焦点をあてた、思わず引き込まれる作品。
このドキュメンタリーは、論文を捏造して失脚したファン・ウソク博士についてのものである。

おそらく21世紀最大の科学スキャンダルが、『キング・オブ・クローン』のテーマじゃないかな。
今作品はアディティヤ・ターイ監督が、かつて遺伝子幹細胞研究とヒトクローン研究で車椅子の男性を再び歩かせることができると、まるで神になったかのような主張した韓国の科学者、ファン・ウソク博士を検証した作品でした。
それはイエス・キリストが云ったったことだっっつ！と映画の中で解説者が叫ぶが、ファン・ウソク博士がその崇高な目標を達成しなかったことは周知の事実。
国際的な名声を得るまでと、その後の倫理違反と不正研究をジャーナリストが暴いた後の転落という、とんでもない物語であり、ドキュメンタリーにとって魅力的な素材でした。

お話は、ファン・ウソク博士は研究室に入り、クローン犬をこれでもかと見せびらかす。
そのクローン犬は、なななんと選択交配から発展したバイオテクノロジーの産物。
極端に単純化すると、生きた細胞から核を取り出して未受精卵に挿入し、電気でザッピングして（『フランケンシュタイン』のクリップは情報操作に当たるがわかりやすかった。ありがとう）細胞分裂を開始させる。
この方法は、理論的には損傷した脊髄を修復したり、恐ろしい病気を寛解させたりすることができる、実行可能な幹細胞組織を作り出すことを意図している。
ブタやイヌといった動物のクローン作製で圧倒的な成功を収めた胡散臭いファン・ウソク博士の話を聞けば、将来有望な研究から、大きな医学的ブレークスルーをもたらす可能性の高い研究への道を歩むことになったのであった。。。てな感じ。

んならなぜファン・ウソク博士は現在アブダビに住み、歩かせると云いきった障害者が車椅子に座ったままなのに、レース用ラクダやショー用ラクダのクローンを作っているんやろか？
まあ、彼は自分の仕事においてあまりにも多くの妥協を犯し、それを隠蔽しようとした結果、かつて国民的英雄と讃えられた韓国本国の枠をはるかに超えた不名誉な存在になってしまったんやろな。
汚点に触れる前に、作中では、彼の仕事から恩恵を受けた何人かの人々が紹介される。
一人はオーストラリアの獣医で、アブダビでラクダの専門家。
彼はマブルカンという巨大でメチャメチャ貴重な黒ラクダを繁殖させたが、そのラクダは急死し、数年後に黄博士のクローン技術によって何度も『復活』した。
もう一人はハンガリーの富豪で、彼は愛犬のフレンチ・ブルドッグが死んだ後、大金をはたいてクローンを作ったと思われる(なんか尻切れトンボでおそらく作ったであろう)。
悲しみはクローン作りの出発点として考えることができるかもしれない。
ありがたいことに、この映画は科学倫理学者やジャーナリスト、さらには宗教指導者まで登場させ、ファン・ウソク博士の行いに何らかの視点を提供することで、その責務を果たしている。
彼の研究は道徳的に実行可能なんか？
彼は神を演じてる詐欺師なんか？
霊長類のクローンを作ることは滑りやすい坂道の第一歩だと主張する者もいるけど、ファン・ウソク博士は『再生医療』てのは崇高な試みだと云い返す。
どちらも正しいとは思う。
そしてファン博士は、自分の研究が多くの人間の不幸を癒すことを、国際的に大々的に保証している。
彼は、卵子を提供するために侵襲的(医学で、生体の内部環境の恒常性を乱す可能性がある刺激全般をいう。 投薬・注射・手術などの医療行為や、外傷・骨折・感染症などが含まれる)な処置を受ける人間の女性ボランティアを必要としていたが、ジャーナリストがその卵子の出所について彼に尋ねたとき、彼は云い逃れをした。
彼は研究チームの若い女性に卵子提供を迫っていたことが判明した。
彼はまた、闇市場で卵子を購入するために科学助成金から資金を横領していた。
そして、自分の研究を実際よりも実りあるものに見せるためにデータをごまかし始めた。
嗚呼、自業自得。
ファン・ウソク博士の論文が取り消されると、大韓民国の検察はファン・ウソク博士を生命倫理法違反や研究費横領などの詐欺罪などで起訴した。せや、裁判の結果、ファン・ウソク博士は詐欺罪では無罪となり、生命倫理法違反と研究費横領の罪のみで有罪となった。
せやし、先に書いた詐欺師は免れたよう。
また、当時クローン胚を幹細胞に成長させるはずだった共同研究機関ミズメディ病院の研究者たちが幹細胞を変更し、ファン・ウソク博士はそのことを知らなかったことも明らかになった。

※ドキュメンタリーはこの事実に触れず、すべてをファン・ウソクの責任としている。

また、ファン・ウソク博士と共同研究を行ったミズメディ病院は、生命倫理法制定前に卵子を受け取り、その代金を支払っており、これもミズメディ病院の責任でもある。
韓国で生命倫理法が制定された後、ファン・ウソク博士は不妊患者の同意を得て卵子提供という形で卵子を受け取り、研究に使用した。
しかし、このドキュメンタリーはそのような卵子提供については触れておらず、これもファン・ウソク博士に不利になるように事実を歪曲して製作されとるし偏ったものではである。
論文の捏造が発覚したとき、韓国国民の大多数は、ファン・ウソク博士に研究の再現の機会を与え、それがクローン胚を担当したファン・ウソク博士のチームの責任なのか、クローン胚を幹細胞に成長させたミズメディ博士のチームの責任なのかを明らかにすることを望んだが、SNUの委員会はその手続きを省略した。
このドキュメンタリーは、ファン・ウソク博士が現在行っている様々な研究の現状を生々しく知ることができたという点で有意義やった。
死後10年以上経過したラクダのクローン化に成功した話はホンマ興味深かった。
また、死んだ犬のクローンを作ることで、犬の飼い主の思い出を蘇らせるという話は、考えさせられるものがある。
最後に、マンモスの組織が採取され、その結果、ファン・ウソク氏の研究チームが生きたマンモスの細胞を持っているという話は驚きであり、興味深かったかな。

クローンの研究者として、有名なファン・ウソク博士✩.*˚
優秀だったからこそ、その技術を使って人間のクローンへ……って言う、タブーを犯してしまった人物( ´A` )💦

確かに興味はあるけれど、倫理的な問題は無視できないよねぇ‪𓂃 𓈒𓏸◌‬
純粋な好奇心だけなら、理解もできるが……
人間だからそれだけじゃ済まないもんね💦

既にSFの世界観じゃない所まで技術が追いついてきている事にも驚き!?
もし可能で大切な人のクローンでも、ちょっと考えちゃうかもなぁ‪𓂃 𓈒𓏸◌‬

人間からエゴをとったら動物になってしまうので、むしろこの映像にうつる全ての人物が生き生きとしているのがとても眩しく感じる。誰かのため、自分のため、倫理観のために事件が繰り広げられる訳だけど、ここに金銭的・不正問題が絡むと一気に胡散臭くなるのが残念。人生や人間の歴史なんて宇宙からみたら瞬間的なものなのだから楽しめばいいよ〜〜と、結局観終わってどうでもよくなってしまった。