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Eureka(原題)
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『Eureka(原題)』に投稿された感想・評価

[白人社会に生きる先住民たちの年代記] 70点

リサンドロ・アロンソ長編六作目。前作『約束の地』はボロボロになったヴィゴ・モーテンセンが荒野を彷徨う静かな映画だったので、今回は疲れ果てているだろう釜山映画祭の〆に、言葉の少ない映画を持ってきたくて鑑賞。とても不順な動機だが心地よい映画だったので目的達成。本作品は三部構成で展開される。第一部はモノクロのアカデミー比画面で撮られた西部劇である。主人公マーフィはそこかしこで銃声のする治安の終わってる街にやって来た。何かを探しているようだ。サルーンではコロネルと名乗る女に出会う。といったように、ある種の西部劇クリシェを丁寧に辿り直す上に進む上に、全体的にオーバーアクトだし、画面内に様々な人や物を入れようとしていて実に窮屈だ。すると、第一部は第二部の世界で放映されているTVドラマであることが分かる。といったようにヌルりとした連続性を持ちながら第二部へと続いていく。第二部ではヴィゴ・モーテンセンとキアラ・マストロヤンニが別時代の別人物を演じる『クラウド・アトラス』みたいな感じになるのかな~とヌルいことを考えていたが、アロンソはそんなカロリー高いことは考えないことを忘れていた。第二部はパインリッジ居住区で暮らすネイティヴアメリカンの警察官アライナの勤務風景だ。誰も近くに応援がいない中で粛々と仕事を続ける彼女の姿を通して、西部開拓時代から今に至るまで踏みにじられてきた彼らの生活が浮かび上がる。そんな混沌とした土地に法と秩序をもたらす孤独な警官という立場は、第一部のマーフィとは真逆の立場にある。アライナの孤独な戦いは1時間ほど続くが、段々と吹雪いてくるのも併せて、不穏さが背中に貼り付いているような緊張感があり、とても良い。第三部ではブラジルに場所を移し、第一部と第二部の間の期間を描きつつある種の一般化を行うわけだが、台詞ほぼなしのアロンソ劇場とはいえ第二部には適うはずもなく、尻すぼみに終わってしまった印象を受ける。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

4.0
【西部劇の時間は続くよどこまでも】
アルゼンチン映画が最近熱いので、『約束の地』のリサンドロ・アロンソ新作『Eureka』を観てみることにした。かなり異色な作品であった。

娘を探しにカウボーイが荒野を彷徨う。とある街にやってきた彼は、淡々と血生臭く人を殺していく。やがて、敵を特定し部屋に押し入るのだが、娘に銃を突きつけられる。肝心な対峙の場面で、画はニュースに切り替わる。テレビドラマであることが分かるのだ。この部屋には女性警察官がおり、彼女は人手の足りない地区の見回りに駆り出される。西部劇で流れるゆっくりじっとりとした時間が現代でも蔓延っていることが象徴的に描かれ、双方の物語における緊迫感が共有される。そして物語は第三部でマジックリアリズム的森の空間を捉えだす。

全く異なる3つのジャンルを、類似の時間の流れを共有させながら描く異色作。第一部の西部劇パートが最高で、銃弾一発の重みを強調するスタイリッシュな銃撃戦が印象的であった。