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BAD LANDS バッド・ランズのmaroのレビュー・感想・評価

BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)
4.0
2023年日本公開映画で面白かった順位:65/135
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★

※以下、敬称略。
原作小説は未読。
韓国映画を思わせるダークな人間ドラマとキャストの演技力がイチオシの映画だった。

とにかく、キャラクターがすごくいい!
安藤サクラ演じるネリは、やることはきっちりやるけど、どこか心ここにあらずな空虚さと哀愁漂う雰囲気で。
犯罪者ではあるものの、根っからの悪というより、高城の元に身を寄せているがゆえに仕方なくやってるようで、実際は面倒見のいい漢気溢れる姉御って感じなのが憎むどころか憧れさえ持ったね。

山田涼介演じるジョーは、勢いだけで突っ走っちゃうサイコパスだけど、意外と姉想い。
ただ、やってることはえげつないんだけど、山田クンは普段が明るく正義感の強い役が多いから、ダークな役をやってもあまり怖さがないっていうのが正直なところだけど(笑)
そんな彼が見せる終盤の活躍は注目ポイント。

でも、一番びっくりしたのが前田航基よ。
「まえだまえだ」というお笑いコンビで有名だけど、ここ何年かはよく映画で見かける。
そのふくよかな体型と年齢的なところから、学園モノでいじられ役やいじめられ役だったりするんだけど、今回はまさかのド悪党。
関東からやってきた半グレだかチンピラだかの役で、「メチャクチャ強面で迫力ある人がいるなー」と思って観ていたら、途中で気づいてびっくり!
頭が坊主だったから最初はまったくわからなくて、彼だと気づいたときは「えっえっ、ウソでしょ?」ってぐらいこれまでの役柄との違いに驚いた。

シーンが大阪のときは全編にわたって関西弁なのも、怖さを引き立てる要因になっていたと思う。
関東に住んでいる身からすると、セリフが聞き取りづらい部分もあるんだけど、怒鳴り声は関西弁の方が怖く感じるよねー。
高城役の生瀬勝久もコメディなイメージが強いけど、怒鳴り散らすところはドスが効いててガチで怖かったし、新井ママ役の天童よしみも「人生舐めずにこれ舐めて」の印象が染み付いている分、そのギャップに驚いた。
あと、林田役のサリngROCKという方も始めて観たのだけど、金髪かつインパクトある顔立ちが頭から離れない。

ただ、事情をもう少し知りたかったのが、ネリと胡屋(淵上泰史)の関係。
過去にネリが胡屋の下で働き、ほぼ性奴隷のような扱いを受けていたのはわかったけど、そんな人とどういう経緯で出会ったのかは気になる。
大阪に行ったネリを執拗に追いかけていたけど、他人をおもちゃのようにしか感じなさそうな彼が、そこまでネリにこだわる理由ってなんかあったのかな。
この胡屋ってやつも超ド級のサイコパスでさ、秘書の女性を殴りまくって、その後で自分でケガを手当てするというクズっぷり。
本当にやべぇやつしかいないよ、この映画(笑)

そんなわけで、犯罪者とサイコパスと底辺しか出てこないスリリングなサスペンス映画で楽しめた。
濃いキャラクターのオンパレードでそのイカれた人格とキャストの迫真の演技に圧倒されるので、これはぜひ映画館で観た方がいいかなと。
某ゲストキャストの登場にも目が離せません(笑)
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