NAO141

ドラゴンボールZ 絶望への反抗!! 残された超戦士 悟飯とトランクスのNAO141のレビュー・感想・評価

4.0
『ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦〜フリーザに挑んだZ戦士 孫悟空の父〜』に続くテレビスペシャル第2弾。
原作コミックの番外編『TRUNKS THE STORY -たったひとりの戦士-』がベースになっており、それに大幅にオリジナルシーンを加えた形で再構成されたもの。

主人公の孫悟空が既に死亡しており、主要人物も次々に人造人間17号・18号に殺され、トランクスの師匠でもあり最後のZ戦士でもあった孫悟飯までも殺害されてしまう。かなり暗い感じの作風となっており、ドラゴンボールらしさをあまり感じないが、だからこそこの悲壮感漂う暗黒歴史を生き抜いたトランクスがどんな想いで現代にやって来たのかがわかるストーリーとなっており、これもなかなかの良作である。

『ドラゴンボール』読者に強烈な印象を与えた悪の帝王フリーザ。そのフリーザを突如現れた謎の少年が一刀両断する!あまりにも衝撃的な展開に登場人物達だけでなく、我々読者も「!??」「この少年は何者なんだ!!」と激震が走った当時を思い出す笑。そしてこのトランクスというキャラクターがドラゴンボールに登場するキャラクターとしては珍しく端正な顔立ちであり、この点もあってかこの頃から『ドラゴンボール』の女性ファンも増えたという話を聞いたことがある。色々な意味で衝撃的なキャラクターが登場したわけだが、このキャラクターにどんな過去があったのかを描く本作によってトランクスというキャラクターに深みが増しており、良いスピンオフ作品になっていると思う。17号・18号が一緒になって戦う(通称:アクセルダンス)という攻撃もなかなか格好良かったなぁ。

ところで改めて考えてみると、『ドラゴンボール』はフリーザ編が終了した後、本来トランクスが現代にやって来て歴史が改変されなければ(正確にはトランクスが過去の流れを変えても別のパラレルワールドが発生しただけで、元のトランクスの未来に変化はなかったわけだが)、主人公の孫悟空は心臓病で死亡し、Z戦士は全員が人造人間に殺害されるという流れになるはずだったわけで、本来進行するはずだった歴史はかなり暗く重い展開になる作品だったのかもしれない…笑。もちろんそんな展開にしないために人造人間編・セル編が描かれていくわけだが、歴史改変などがなかった場合、『ドラゴンボール』という作品は〈フリーザという強敵を倒した後、主人公は心臓病で死亡し、残った仲間達も新たに出現した強敵に全員殺されましたとさ〉と、まったくめでたしめでたしな作品にならなかったのかもしれないと考えると、なかなかシュールな作品なのかもしれない笑。まぁ、『ドラゴンボール』という作品は本当に何でもありな作品なわけで、何が起こっても違和感なく楽しめてしまうわけだけどさ笑。改めて原作者の鳥山明の偉大さを感じ、そしてその作品をオンタイムで観ていた自分は幸せだなって思う!
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