【第76回カンヌ映画祭 監督週間出品】
カンヌ映画祭監督作品特集上映にて。サンセバスチャン映画祭に出品、ストックホルム映画祭では撮影賞を受賞している。
なんとも言えない。出来としてはいいのだが、テーマが分かりづらく、もったいぶった感じがある。
冒頭からの長回しのカメラワーク、全体の撮影は特筆すべきものがある。フレームインする主人公たちの車、割れたフロントガラス…象徴的で美しい。
ただ、何を言いたい作品なのか、というのが終盤までよく分からない。ラストで少女の決意、区切りをつけたいという気持ちが分かるのだが、そこをもう少し詳しく描いてほしかった。
流しのドライブインシアターのようなことをやっている父、多感な時期を迎えた娘、その関係性の描き方はすごく丁寧で良かったとは思う。些細な言動で伝わるその人の意思が垣間見える。
それは十分伝わっているから、母親に関することにもう少し時間を割いてフィーチャーしてもよかったのではないだろうか。とはいえこれが一作目だという監督の力量は十分だと感じたし、決して悪い映画ではない。普遍性を持った美しい作品だ。