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ジャングル・ブックのrensaurusのレビュー・感想・評価

ジャングル・ブック(1967年製作の映画)
3.6
『The Bare Necessity』『I Wanna Be Like You』の主要2曲が素晴らし過ぎることと対照に、かっちりしないストーリー展開にぬかるんだ印象がある作品。

狼に育てられたモーグリが、ジャングルで生きるのか、人間の村に入るのかというアイデンティティの確立の過程でかなり重要なイベントであるにも関わらず、全体的にぬるっとしており、単に演出が下手っぴなのか?それとも変に盛り上げすぎないところが白眉なのか?と全体像がパッとしません。

気になった所として、モーグリの意思をよそに、村に帰ることをゴリ押しするバギーラが押し付けがましくて見ていられなかった。あなたモーグリの成長見守ってきたんやろ?なぜモーグリを尊重しないのか。

そして、象のくだりが普通に退屈。

クライマックスでもバルーが犠牲になるのかと思いきや死んでませーんという要らないフェイントを喰らいます。

ラストに至ってはモーグリが女の子に誑かされて、仲間への挨拶もそこそこに村へ入っていってしまい、ジャングルに居たいという意思はどこへやら。顔を歪めながら吸い寄せられていく姿はもはや狂気。結局はバギーラの意向に沿う形になります。本能には抗えないのか。

こんな感じで何とも気の抜けた、拍子抜けとも言える物語なのですが、絶妙な「成り行き任せ感」が肩に力が入っておらず、バルーの自由な生活にも通ずる気楽さを醸しています。
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