東京国際映画祭学生応援団

白い小船の東京国際映画祭学生応援団のレビュー・感想・評価

白い小船(2023年製作の映画)
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第36回東京国際映画祭ユース部門
第76回カンヌ国際映画祭監督週間に出品された、中国の女性監督ゴン・ズーハンのデビュー作。

親に環境を左右される15歳の少女が、偶然出会った歳上の女性との出会いにより、自らの人生を切り開いていく、という物語。

今作の主人公である15歳の少女にとって、親と学校が世界の全てであり、どこか閉塞感を抱えながら生きている。
そんな中、親の仕事の都合で環境が変化し、偶然出会った歳上の自由な女性の手によって、親でも学校でもない、新たな世界が切り開かれていく。

主人公の目に映る世界は全てが新鮮であり、映画を通して、20代である自分も、その輝きに満ちた眼差しを追体験することができた。

一方で、自由に見える歳上の女性も、様々なしがらみの中で生きていることを主人公は知るが、その女性を解放するために自ら殻を破り、真っ直ぐな行動を起こしていく様子が痛快で、胸を打たれた。

今年公開された中国映画『シスター 夏のわかれ道』にも通じる部分があり、「親から離れた子どもが、どのように自分の人生を切り開いていくのか」というのが、今の中国映画の主題なのかもしれない。

自分の世界に窮屈さを感じている10代だけでなく、しがらみから逃れられないと感じている大人にも観てほしい一作だ。(学生応援団)