Omizu

アース・ママのOmizuのレビュー・感想・評価

アース・ママ(2023年製作の映画)
3.8
A24特集にて
バレーボールの元オリンピック選手であるサバナ・リーフの長編監督デビュー作。 NBRインディペンデント映画賞トップ10、インディペンデント・スピリット賞2部門ノミネートなど高く評価された作品。

とてもよかった。どことなく『17歳の瞳に映る世界』を感じる。若いシングルマザーであるジアがお腹の子を里子に出すかどうかで揺れる様子を詩情豊かに描き出している。

16ミリで撮影された映像もステキだし、主演のティア・ノーモアを始めとするキャストも好演。

自分の子に自由に会うことも叶わない黒人女性の揺れ動く心情を丁寧に描いている。二人の子供と一緒に暮らすことはできるのか、そしてお腹の子を里子に出すことが最善なのか。当人の苦しさをじっくりと描写していく。

最後にジアが下した決断には胸を打たれるものがあった。

元オリンピック選手という異色の経歴を持つサバナ・リーフ監督は注目の存在である。長編デビュー作ならではのフレッシュさもありつつ、その演出手腕には新人離れしたものがある。

何かが突出しているわけではないが、一瞬たりとも飽きさせないアート然とした堂々たる作品になっていた。
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