ヘソの曲り角

絞殺魔のヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

絞殺魔(1968年製作の映画)
3.8
wikiで実際の事件とか調べたら後味悪くてちょっと印象が悪い。フライシャーってマンディンゴしかり本作しかり急に超ゴリゴリの社会派撮るよね。ヘンリー・フォンダはさすが。ジョージ・ケネディ、『人間の証明』見た時「こいつひでぇな…!」と思ってたんだが日本サイドの演出力の無さのせいでした。大変失礼いたしました。トニー・カーティスよう頑張りましたわ。初登場シーンで既に目が死んでてすごい。最後のスイッチ入るとこの表情でゾワッとした。

作品のテーマとしては、作中では真犯人とされる人物に辿り着くまでに途方もない数の異常性嗜好者を検挙し続けたことで日常にも顕在してないだけでけっこう大変な人はいて、終盤の精神科医の台詞にもあったような人間紙一重ですよってことを言いたいんだろうなというのは分かった。あの時代でゲイやレズビアンを異常と描写してないのは特筆すべきかもしれない。それでまあ人間怖いことがあると疑心暗鬼になってムダに色々勘ぐったりしてしまうという描写もちゃんとあった。

やたら画面分割するやつはあんま好きじゃなかった。単純に情報が重複してて良くないか、いたずらに情報過多で散漫になるかの微妙な画面構成が頻発していて意義があまり見いだせなかった。あと普通にあんなに何個も何個もいろんな映像映してたらフィルムかさんで高上がりじゃね?と思った。カットの切れ目でさっきまで余ってた黒の部分が影になったりするのはうまいと思うが。あとこういう異常心理もので必ずある犯人の独白シーン、実はあんまりノレなくて…。何となく『天国と地獄』を思い出すなこの感じ…。いやぁ、たぶんフライシャー普通に撮ったら簡単に傑作作れちゃうから遊んでんだろうな。カットのつなぎとかカメラワークとかはさりげなく抜群に良いし終盤のカットバック?も恐ろしく決まってたし普通にいいところもたくさんあるんだけど色々余計だな…と思った。

途中急に登場する超能力者めっちゃウケた。全部合ってるけど合ってない、っていう。