Bobsan

絞殺魔のBobsanのレビュー・感想・評価

絞殺魔(1968年製作の映画)
5.0
スプリット・スクリーンを多用して、犯人と犠牲者、死体とそれを発見する者、警察による様々な捜査場面を同時に観せるリチャード・フライシャー監督のスタイリッシュな演出が冴えわたる実録犯罪映画の大傑作ですね。
1962年〜1964年にかけて米ボストンを恐怖に陥れた絞殺魔事件を映画化した作品ですが、事件の真相はわからないままです。
劇中ではトニー・カーティス扮するアルバート・デサルボはアパートに不法侵入した容疑で逮捕されましたが、実際は強姦容疑だったそうで、同時期に発生していた「グリーン・マン」と呼ばれる緑色の作業着を着た連続強姦魔の容疑者としての逮捕だったそうです。取り調べを行う内に精神疾患と判断されたデサルボは精神病院に収容されますが、同室の男から彼が絞殺魔の犯人ではないかとの連絡を受け、調べたところ犯行を自供したのだそうです。しかし、証拠が自供だけで決定打となる物的証拠がない。彼が自供を覆せば判決の行方もわからなくなる為、検察は司法取引を行い、強姦容疑でのみ訴追し、裁判で責任能力が否定された時は絞殺魔として自供するよう仕掛けました。結果、責任能力は認められ、彼は強姦魔としてのみ終身刑を受けたそうです。
更にデサルボは1973年に獄中で刺殺体となって発見された為、真相は完全に闇に葬られてしまいました。
今だに冤罪説も拭えないこの事件、果たして“ボストン・ストラングラー"はデサルボだったのでしょうか?
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