むぎちゃ

クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男のむぎちゃのレビュー・感想・評価

3.0
ユマ・サーマンの事故やワインスタインの事件も知らず、なんならタランティーノ映画も別に全部を観てる訳では無い。そういう人間のレビューなので悪しからず。


初めてタランティーノ映画を観たのは映画館でのキル・ビルだった。予告で痺れたので絶対劇場へ行こうと決めていたな。
蓋を開けると刀ホルダー標準装備飛行機にカタコト武士道ヤクザ等、パラレル日本がてんこ盛りの訳分からん映画だった。
「なんじゃこりゃ」と思ったはずなのに続編も映画館で観てた。
こんな変な映画なのに何故か人を惹きつける魔力をもった映画だなぁと。

で、今回のこの映画を観て何となーく腑に落ちた。
関係者は口を揃えて言う。「クエンティンの映画に対する情熱は伝染する」と。
元が映画オタク故か、本当に映画を作ることに対しての情熱や愛が止まらない人なんだろうな。
その熱量が作品の善し悪しに関わらずスクリーンから伝わるんだね。


インタビューを受けた面子は豪華。ただ数自体はそんなにおらんので限られた関係者による証言って感じ。(ユマ・サーマンはあの一件で無理だった?)
なのに不思議と飽きずに観れた。
インタビュー映像、実際の本編映像、アニメーションによる再現V、この辺のバランスやテンポが良かったのかしら...。

インタビューにおいて印象に残ったのは、キル・ビルにてスタントを演じた人に対して「このキャラはなぜそう動くと思う?」等ディスカッションしたというエピソード。
「まるでメインの役者に対しての演技指導のようだった」とはスタント本人の談。


しかしやはり一番印象的だったのはクエンティン・タランティーノそのものの人間性を示す一文。
第一章の冒頭、彼の言葉。
「映画への十分な愛があれば、映画は作れる」
これが根源にある、あり続けるのが最大の武器なんだな。
「いいのが撮れた、次へ進めそうだ。だがもう1回!」
「なぜなら!僕らは映画作りが大好きだから!」
こんな掛け声が響く制作現場なんて楽しいに決まってる。


ただまぁ先述の通り関係者による証言がメインの、クエンティン・タランティーノすげーって内容なので正直ドキュメンタリー映画って程の作りではないと感じた。
NHKの深夜枠で垂れ流されてても不思議じゃない内容ではある。
これに1,900円を払えるかは非常に微妙なライン。

内容的には勿論彼のファンであれば楽しめそうだが、ファンなら知ってる内容ばかりだろうし、全然知らんて人は「ああそう」で終わる内容。(そもそもそういう人はこれ観ないか)
何なら私のように「ちょっと位なら知ってる程度の映画好き」な層が一番刺さる...のか?
むぎちゃ

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