りょうすけ

ニンフォマニアック Vol.1 ディレクターズカット完全版のりょうすけのレビュー・感想・評価

4.0
「ニンフォマニアック Vol.1 ディレクターズカット完全版」

Vol.1とVol.2の感想をまとめて…

高校生の時にオリジナル版を観て衝撃を受けた「ニンフォマニアック」の完全無修正版。

日本ではアダルトビデオでさえ結合部位やヘアヌード以外の女性器、ペニス(勃起時は必ず)にはモザイクがかかっているので、無修正版とはいえ、軽いモザイクがかかっているのだろうと思いきや、完全なる無修正版で驚いた。

シャイア・ラブーフは作中のセックスシーンが本物であると公言しているようだが、実際はスタントダブルを使用している模様。だが、それでもすごいと思わせる衝撃的な作品である。

オリジナル版がどういう構成だったかははっきりとは覚えていないが、主人公がステラン・スカルスガルドに自分の性経験についての8つのチャプターを語る方式で物語は展開される。Vol.1が5章、Vol.2が3章という構成だが、これは主人公の初体験の時、前からと後ろから突かれた回数でもあり、作中では2回「3+5」を数えるシーンがある。しかし、前から3回、後ろから5回なので、実際のチャプター数とは逆になっている。それにも何か意図があるのであろうか。

Vol.1の5つのチャプターは不特定多数とのセックスという点を除いては至って普通の性愛描写が描かれているが、生々しい性描写は多い。特に列車内でのフェラと終盤のシャイア・ラブーフとのセックスシーンは洋物のポルノでしか観られないような場面の連続であった。

その一方、Vol.2ではMシーンや言葉の通じない黒人との3Pなど、非常に過激なシーンが多かった。特に映画で二本挿しのシーンが観られる日が来ようとは思ってもみなかった。さらに、Vol.2には性愛描写だけでなく、普段映画で見かけることがないほど痛々しいシーンがあるので、苦手な人は注意が必要である。

「ニンフォマニアック」は内容的に非常にインモラルな作品である。作中の描写だけでなく、登場人物の発言に対しても不快になる人は多いと思う。それと同時に哲学的で、「性」はたまた「生きる」ことについての神話のような映画でもある。

観る人によってはハードコアポルノでもあるし哲学でもある多面的な映画なのだ。賛否両論分かれる作品であることに違いはないが、ぜひ一回観てもらいたい作品でもある。ラース・フォン・トリアーの作品には苦手なものも多いが、私は声を大にして「『ニンフォマニアック』は傑作であり、大好きな作品である」と言いたい。
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