ノーマルなセックスでは何も感じなくなってしまった色情狂の女性が快楽を追求するお話
通常版と比べてなんと50分も増えたディレクターズカット版。最も大きな違いは通常版では削除されていたチャプターが追加されている点なのだが、そのチャプターの衝撃が強すぎて驚いた。このチャプターがあるだけで映画全体の印象が一気に変わる。
前作はただのノーマルなセックスだけたったものの、本作は様々なシチュエーションが増えているため見ていて楽しく、合間に挟まる対話もより興味深いものとなっている。「ニグロ」から始まる民主主義とマイノリティ、人間の悪意、そして中絶について。その題材の起点となる物語はいつも主人公が倫理的に間違った行動をとるところから始まるのだが、だからこそ対話がより興味深いものとなり、最終的に全ての対話が一つの結論に纏まっていく構成が非常に上手くて面白い。集団でのセラピーを貶しながらも、この映画もまた対話を通じて自己を救済する一種のセラピー映画となっているのだ。
ただ、セラピーにしてはあまりにも胸糞悪すぎる。
5時間半の超大作にしては全くその長さを感じさせず、逆にもっと見たいと思わせてくれる編集の気持ち良さが素晴らしい。『ハウス・ジャック・ビルド』もそうだけど、この編集のテンポの良さと気持ち良さが最高だ。
