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ザ・クリエイター/創造者のumihayatoのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
5.0
スター・ウォーズシリーズで一番フォースが覚醒したのはギャレス・エドワードだったのではないでしょうか。
ローグ・ワンで掴んだものをしっかり自分の作品として反映させていて、映像もお話も大満足な出来でした!ラストを除いては・・・

以下ちょいネタバレ


9.11から(それ以前から)続くアメリカの戦争の歴史、いやアメリカそのものの在り方や
「平和」を謳いながら戦争をして「報復」の理由つけて人間を殺している大人達に真っ向から矛盾と批判を突き付けていて今とても大切な反戦映画だと思いました。

A.I達の存在は間違いなく人種間の比喩であるし、そのA.I達への報復として根絶やしにしようとしている残虐な姿には「アメリカさぁ、、、」と思うし、恐らくそれは僕らが西側の報道に触れてるだけだから見れていないだけで、ベトナムでも、アフガンでも、イラクでも正義の名の下に起こっていたことだろう。

というか西側諸国のこれまでの統治方法や価値観が、滅茶苦茶だった事が段々明るみになってきた現在にこの映画が叩きつけられてる事自体に意味があると思いましたし、今のガザ地区の事もあり、とてもズシンときてしまいました。

「新たなる希望」が"武器を止められる子供だ"というメッセージもとても良かったと思いました・・・が!!!
ラストにはそりゃどうなのでしょうか?と思ってしまいました。

映画ってのは制作者に登場人物達の生死のボーダーや行動の倫理付けが委ねられてあり、それらを絡め合わせて色々なメッセージやステートメントを伝えられるものだと思います。

折角武器を止められる子供がいるのに、それを地上に伝えることもせず、「次の世代に託す」とばかりに主人公は自分だけ良い思いをして死ぬラストを作ってるわけですが
「え?それを今の世界に望んでんの?ちゃんと責任持ってよ。」と思う。
終わり方もあれじゃぁ地上は復讐の連鎖しかならんし、子供なんで笑わせた?
勝ったとか負けたとかの描写にしちゃダメでしょ。
子供A.Iに「あなたの価値観が反転し良い気持ちで死んだとて私の中には悲しみと憎しみしか残らないので、全く意味がないから一緒に帰って武器を止めるぞ」くらい言わせろよ。

ていうか、そういう前の世代が後の世代に任せて自分は感動的に犠牲になるのだ!
とかそういうマインドだから変わらないんでしょーが。
めっちゃアメリカエンタメ的で腹が立ったし、真剣に考えてないだろと思っちゃいました。
そこまであんなに理想を提示しようとしてる作りなのにもったいない。
大切な話なんだからさ。

そして改めて明確に戦争反対。
どちらがより悪いかの話ではない。
「正義」や「平和」の名の下に
異文化圏の人々を非人間化し対立させ傷つけて殺すその矛盾を、僕は絶対に認めません。
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