アキヒロ

ザ・クリエイター/創造者のアキヒロのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
4.5
この映画スゴイ!!!!

銀貨30枚で西洋社会を裏切ったキリストと
AI・仏教の祖のマヤが愛し合って
新人類のAI人間に受肉したブッダが生まれたらどうなるか?みたいな話。
(※ジョシュアはヘブライ語で「主は救い、イエス」の意。キリストは実際は白人ではなく肌が浅黒かった説が有力なので、本作では黒人に。
※マヤはブッダの母親の名。摩耶。
※AI創造主「ニルマータ」の語源はおそらく「ニルヴァーナ/涅槃」と「オートマータ/機械人形」。「シッダールタ」とも語感が似てる。
※アルフィの本名は「アルファ-オメガ」なので、「AtoZ」つまり「全」「森羅万象」の意味。またSF小説『アルファオメガ』では新人類を表している)

ギャレス監督はインタビューで
「このアイデアはどこから生まれたんですか?」と聞かれて
「そんなの日本の漫画から拝借したに決まってるじゃないか!」と答えたそうだが、
日本愛がいっぱい詰まっていてキャプションには日本語の読みが。

それどころか、人間とロボットの混淆は『攻殻機動隊』、劇中歌の「Fly me to the moon」とエンドクレジットは『エヴァンゲリオン』、西洋の戦車デザインは『ガンダム』の「ガンタンク」か!という内容で、ついに作ってしまったかという感じ。

「ニューアジア」という東洋の国が出てくるが、ベトナムと日本を足して2で割ったような国で、
まさにアメリカが戦争で傷付けた2国(ベトナム戦争と原爆)がモチーフになっているのが面白い。

西洋兵器"ノマド"から落とされたミサイルがモクモクと上げるキノコ雲や、爆弾と警報はまさに空襲。
それどころか西洋社会のガンタンクからは"神風ロボット"が特攻を決めるシーンまである。


西洋社会ではロサンゼルスの一件からAIが忌まれており、東洋(ニューアジア)では人間と模造人間(AI人間)が共生を果たしている。
西洋型の軍人はAI人間が「ネアンデルタール人を滅ぼしたホモサピエンス」だと主張しており、徹底的に滅ぼそうと躍起になっている。
これは現状の西洋がAIを規制する法律がどんどん出てきて、アジアだとAIに寛容な現実、さらには「天国/地獄」の概念があるキリスト教圏と「輪廻転生」の概念のある仏教圏の対立とをオーバーラップさせた深い作品。
このところが面白い。

ギャレス監督は西洋社会の人間であり、キリスト教圏の人間なのに、それを否定するがごとく、こんな映画を作ってしまうんだから。

「"良い人間は天国に行ける"の?
あなたは良い人じゃないから天国に行けない。
私は人間じゃないから天国に行けない」
と無邪気に語るシーンはグッと胸を締め付けられた。

まさに神作!!
……いや仏作!!!
アキヒロ

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