いかえもん

ザ・クリエイター/創造者のいかえもんのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

わりと評価が分かれている映画ですね。
私は久しぶりに映画を観ながら、ああかなこうかなと考えてしまいました。

AIとかロボット、アンドロイドと人間の共存というテーマの映画はわりとあって、シナリオ自体はそんなに珍しい話でもないと思う。
「ブレードランナー」なんかはアンドロイド側の悲哀を描いた映画だったと思うのだけど、この映画はAIに愛情を持ってしまった側の人間の悲哀を描いた物語かなぁと思った。手塚治虫の漫画を実写化したかのような感覚もちょっとあったな。

私がこの映画の中で一番心に刺さった部分は、アルフィーから引き離されたジョシュアが彼女の名前を泣き叫ぶところで、人間側の同僚が「ただのプログラムだよ、たかが機械だよ」といったようなセリフで彼を諭すところだった。
このシーンを見て、この人にとってはそうでも、ジョシュアにとってはそうじゃないのよと思った。誰しも自分にとって価値があったり大事だったりするものがあって、それは他の人にとっては「たかが○○」なところが、こういう争いごとを招くのかもなぁと思った。
しかし、それもアルフィーの顔がかわいいから愛情わくのかなぁと考えたのだけど、いやまてよ、例えば私がR2-D2と一緒に子供の時から暮らしてて、それをたかがドロイドと言われて電源オフされそうになったら、やっぱり怒り狂うだろうと思う。私は今はペットいないけど、ペットもそうじゃないかな。人間だからいいっていうわけじゃなくて、その人にとって大切なものをその価値のわからんやつに勝手なことをしてほしくはないってことかもしれない。結局はその様々な価値観の違いが争いごとの種なのじゃないのか?といったようなことを考えてて、そういえば、「星の王子さま」にもそういう話があったなと思いだした。王子様が自分の小さな星でわがままで自分が一番というバラの花に愛情を注いで一生懸命お世話してたのだけど、あることで喧嘩して地球に来ることになる。地球にいっぱい咲いているバラの花を見て、自分のバラは大したことないものだったのかと王子さまはがっかりする。そんな王子さまにキツネが「あなたが大事に思えばそのバラはたった一つのバラになるのだ」というようなことを話すっていうのがあったなぁと思ったりして、この映画のAIとの共存っていうテーマもどでかい話みたいに思えるけど、実はそういう小さな愛の物語でもあるのかなと思ったりしました。

まあ多分こういう感想はあんまりなくて、AI VS 人間(もちろんそうなんだけど)とか、アメリカ VS アジアというとらえ方の方が主流かなぁと思ったりもするけど、久しぶりにあれこれ考える映画を観られて個人的にはよかったです。