テルヒサ

ザ・クリエイター/創造者のテルヒサのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
4.8
オリジナルSFの良い要素満載の良作。
AIが人間と共生していて、アジア世界に馴染んでいるのが新しくて面白い画面だった。
AIとか近未来をテーマにした映画の良いところは、新技術の中でも宗教とか天国など観念的な存在が人間の存続において必要とされてたり、AI側がそれらを利用しているのが見える点。今作でいえば宗教を子供達に伝えるロボットとか、「悪人と人ならざるものは天国に行けない」とか。
NOMAD≒遊牧民という名前はネアンデルタール人を滅ぼしたホモサピエンスの遊牧民的な性格を踏襲している気がした。ただ今作では滅ぼす相手が自分達の科学力によって追い越されて脅威となってしまったAI達、という逆転した構図が面白く、人間の他を排除したがる傲慢さ、愚かさを感じた。あと米軍の性格も現実での印象を踏まえているように感じた。
ストーリーもわかりやすく、バランスが良かった。確かにご都合主義的な場面もあったが、主人公とアルフィーのドラマが見どころなので納得できた。SF作品の導入、展開、結末の手本となるようなストーリーだと感じた。
あとはアジア世界の印象が新しく面白かったので、もう少しテンポを崩す日常的なシーンもあってよかった気がする。主人公の使命感以外のアルフィーに対する愛情や同情が生まれるシーンもあってよかったのでは。テンポの良さが今作の魅力でもあるのだが。
デザインもAIの見た目と頭部が一番頭に残る。他は見たことあるものだった。
ニューアジアを侵略する米軍の描写が良かった。悪役に振り切っていたので。AIロボット達を並べて撃つところとか。
渡辺謙最高。
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