ナミモト

ザ・クリエイター/創造者のナミモトのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ローグ・ワンの監督作品と聴いて、すかさず鑑賞しました。
アメリカ側とニュー・アジア側。人間とAI。
ワシントンD.C.での核爆発事故をAIのミスに原因があるとしたアメリカ側は、その後、AIを使うことを禁じる。ニュー・アジア側では、AIと人間が共存する世界があった。ニュー・アジア側は、アメリカ側の最終兵器ノマドを破壊できるAIを開発した。アメリカ側の指令を受けて、そのAI破壊作戦に潜入捜査をしていたジョシュア。ジョシュアには、マヤというニュー・アジア側の配偶者がおり、マヤはジョシュアの子供を妊娠していた…。

ここから、ひとこと感想。
ニュー・アジア側の、チベットを連想させる僧侶たちが、ほとんどAI。アメリカ側に僧侶のような超越した知性を保持する指導者がいないことが印象的。知性あるニュー・アジア側の僧侶を含む人々(AIも含めた人々)は決して戦争を望んでいない。
アメリカ側は、人間を守ると大義を掲げながら、容赦なくニュー・アジアを攻撃する。行き過ぎたヒューマニズムが、人間ナショナリズムとすら見えるような描き方。
ジョシュアにしかマヤの生命維持装置を止められないことと、アルフィーにしかノマドを止められないことは、連関している。
一瞬しかないシーンだが、犬と猿が、一見すると、人間対AIとみえる関係の外側から、唐突にファイン・プレイを見せており、良い。人間とAIだけがクローズ・アップされると、この映画自体が人間中心主義とも捉えられかねないが、犬と猿という動物(天然知能)の介在があることによって、この映画が人間中心主義となりすぎることを巧みにズラしている。
アメリカ側のD-14(みたいな名前の)の特攻ロボットは、R2D2っぽい…。アメリカ側がAIを捨て駒の戦闘員のようにしか見做していないことの象徴のようなロボット。
知性を持つもの、愛を知るものを、生命と尊重するマヤの考えが、宗教の教えとは本来そうであるべきだと示唆している。
創造者が女性でもあるという点が、キリスト教の父なる神との対比となっている。
ナミモト

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