ハル

ザ・クリエイター/創造者のハルのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
3.8
『破壊と創造』をテーマにしたSF大作であり、VFXを駆使した実に近代的な作品。
AIに支配された世界を取り戻すため、人類側が抗うという流れは“いかにも”なやつ。
戦争の引き金となった核爆発の真相、超高性能な子供の姿をしたAIと主人公の逃避行、その果てに待つものは。

今作は見た目の美しさや映像技術の卓越さよりも、ストーリー性重視の物語が特筆すべきポイントに思えた。
ただ、ご都合主義は否めない。
設定もAI対人間ではなく、AI+人類の一部対アメリカという構図であったり、いくつかひっかかる部分が…
複数のファクトを絡ます場合はシンプル、かつ簡潔にしてほしいところ。
“世界観の浸透”がSF作品にハマれるかどうかのターニングポイントだと思うので、そういった意味ではもうひと工夫かな。
賛否両論あるのも納得の構成。
ざっくりまとめてしまうと、大型RPGをそのままゲームにしたようなお話。

そんな中、個人的にツボだったのは自爆ロボのシュールさ。
銃弾の効かないカプセル型脚付きロボットが相手の陣地に全力疾走していきなり自爆する。
ただ、それだけの兵器。
しかし、こいつが地味に最強。
走ってきた時の相手側の絶望感ときたら…口をぽかんと開けてしまう気持ちも分かる。
有無を言わさないシンプル・イズ・ベストな爆破くん。

また、日本人としてはケン・ワタナベが登場したことに歓喜。
はっきりと日本語で「探せ!!」と叫んでいたり、主要キャストとして爪痕を残していた。
(ニューアジアだからかな?正直、強めの違和感…)
『ジョン・ウィック』の真田広之同様、海外作品で役を貰うって本当に凄い事。
彼らの活躍を誇りに感じるし、パイオニアとして頑張ってくれている事が素直に嬉しいね。

鑑賞後の所感としては、アレンジに趣向を凝らしているものの、既存の作品と類似しているのは否めない…が素直な気持ち。
そのため、ジャンル的に苦手な方には薦められないかな。
とはいえ、規模感大きめの作品はマーベルやリバイバル系のレジェンドばかりになっているので、チャレンジ精神を買いたい。
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