社会のダストダス

ザ・クリエイター/創造者の社会のダストダスのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
4.2
20XX年、ロサンゼルスは核の炎に包まれた!(千葉繁のナレーション風)


デンゼル・ワシントン作品が劇場公開されたのも最近ながら、息子のジョン・デヴィッド・ワシントンも主演作が公開されワシントン一家が元気。

比較的好き嫌いせずにいろんな映画を観ているつもりでも、あまり観ないのがSFジャンル。好きな俳優が出てたりしなかったら、興味関心はエッチな映画の10分の1くらいになってしまうので意識して観に行かないと、この手の作品はストリーミングになってからだとまず観ないので。

監督はギャレス・エドワーズ、モンスターバース版の『Godzilla/ゴジラ』の人だったか。ゴジラファンの間では賛否分かれていたけど個人的には結構好きだった。本作でもゴジラの頃からアップデート(?)された日本のような街に加えて、ケン・ワタナベも物理的にアップデートされていた。

このご時世にオリジナル脚本で見た目大作っぽいSF映画を撮るというのも珍しい。自分がSFジャンルに疎いから知らないだけで、実は巷には溢れているのかもしれないが。この手の作品の中では製作費は抑え目らしいが、見た目的にはマイケル・ベイとかローランド・エメリッヒのような破壊衝動のある人たちの映画と比べても遜色ないように感じた。

西側勢力(アメリカ)が清々しいくらいの悪役、『Godzilla/ゴジラ』のときは米軍が全くの無力に描かれていたりしたので、ギャレス監督はシンプルにアメリカが嫌いなのかもしれない。犬を人質にして地元民を従わせようとするなど、その所業は人の皮を被ったトカゲであり、初等教育をスカイネットから受けてきたんじゃないかというくらいに道徳心がクソである。

ストーリー展開については人知を超えた存在についての西洋と東洋の価値観の違いをAIというものに置き換えて対立構造にしたような話かと。ドラゴン(龍)とかの描かれ方などでも東洋では神聖で崇めるべきもの、西洋では凶暴で打ち倒すべきものという見方をされることが多い。このあたりについてハリウッドで2度目のゴジラ映画を作ったギャレス監督は思うところがあったのかも。本作では主人公ジョシュアと旅をするハイブリッドAIアルフィーちゃんが一方では神の子、もう一方では破壊すべき兵器として扱われる。

ゲーム脳からすると世界観は、少しレトロな未来像がFalloutシリーズを幾分か真面目にしたような印象を受け、人と機械の共存を実現した世界とそれによる分断と戦争が起こる内容はオーバーウォッチっぽさもあった。中盤の寺院で機械僧とか見かけたときは今にもゼニヤッタとか出てくるんじゃないかと思ったし、本作の冒頭数分はFallout4に似てると感じた。

『イコライザー3』でデンゼル・ワシントンとダコタ・ファニング共演で『マイ・ボディガード』の再現だー!って喜んでたけど、本作もまたジョン・デヴィッド・ワシントン版の『マイ・ボディガード』みたいな映画だった。