ぶみ

ザ・クリエイター/創造者のぶみのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
2.5
守ると誓った。兵器と呼ばれた少女を。

ギャレス・エドワーズ監督、ジョン・デヴィッド・ワシントン主演によるSFドラマ。
AIが核爆発を引き起こし、人類とAIとの戦争が激しくなる中、元特殊部隊の隊員と、暗殺対象となった少女のAIの姿を中心に描く。
主人公となる元特殊部隊隊員ジョシュア・テイラーをワシントン、テイラーの暗殺対象となった少女の姿をしたAIアルフィーをマデリン・ユナ・ヴォイルズ、ジョシュアの妻ニアマタをジェンマ・チャンが演じているほか、渡辺謙、アリソン・ジャネイ、スタージル・シンプソン等が登場。
物語は、2075年を舞台として、人類を滅ぼす兵器を創り出した「クリエイター」の潜伏先を突き止めたところ、少女アルフィーがおり、その裏に隠された真相を突き止めようとする様が描かれるのだが、ゴリゴリのSF作品をなんちゃらユニバース的なシリーズものではなく、完全オリジナルとして出してきたというだけでも、その並々ならぬ意気込みが感じられるもの。
そして、CGを中心とした映像美に文句はなく、また戦闘服や宇宙船といった大小のガジェット類の作り込みも素晴らしく、SF大作に違わぬ出来栄えであるとともに、日本では新宿や渋谷でも撮影が行われたとのことであり、その代表として渡辺が登場しているのも、見逃せないポイント。
ただ、AIロボット対人間という、既に陳腐化しているテーマのせいか、はたまた王道一直線で遊びや余裕が感じられなかった脚本に、これまた使い古されたような結末のせいか、つまらなくはないものの、では面白かったかと言われると微妙なところで、その前に観たマーティン・スコセッシ監督『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』同様、今一つのめり込むことができなかったのが正直な感想。
反面、冒頭にあるロボットの進化の過程や、ありとあらゆる場面でロボットが活躍する日常の光景、愛らしい動きをするロボット兵器等々、監督のロボット愛が随所に感じられ、それを見事に映像化していたのは良かったところ。
SF作品として映像的には間違いないクオリティを誇ってはいるものの、前述のように、あまりにも真面目に作られているせいか、面白みに欠けてしまっていたのが残念であったのだが、そうは言っても、スクリーンで観るだけの価値はある一作。

俺には葬儀です。
ぶみ

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