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ザ・クリエイター/創造者のzogliのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
2.6
公開からだいぶたったけれど劇場で観てきた

大手レーベルのシリーズもの以外の独立した作品として壮大なSF作品来たの久々じゃないか?映像美!独特の世界観!やってくれたぜありがとう!な部分もあるけどまぁ色々酷いなーとも思った

AI関連と大都市ぽいところ以外ではめちゃプリミティブな服着て前近代的な生活をしているニューアジアの人たちとか、ほぼタイとインドネシアじゃないのかな?みたいな舞台なのに各所で多用される日本語表記(なぜあのフォントを選んだのか)/突然の日本語セリフとか
アジアごちゃ混ぜで区別付いてない(けどとりあえず中国要素は抜いときました)、最後には必ずネパール/チベットあたりに行き着くあたりも教科書通りというか北米目線そのままのアジア観だし、BGMでガムラン+尺八とかフィーチャーしてるのに終盤のあの辺はやっぱどうしても讃美歌みたいな曲載せてくるのでやっぱりどこを切り取ってもアメリカからみたアジアでしかないのに『こういう世界ですから俺のニューアジアは!』と開き直って提示してくるの、もう天晴れでしょ
わたしたちもこのくらい開き直りたい

いやケンワタナベ以外に日本要素皆無なのに…なんだかジャパンに気を遣って頂いて本当に恐縮ですけども、でもケンワタナベの装備してる防具が胴丸インスパイアみたいなやつで、いやそこだけ何世紀前要素なんだよ、みたいなね、ちょっとちぐはぐなリスペクトだと思うんですよね…ケンワタナベの名前もハルンとか言って全然日本ぽくないし、なんか違うんですよね…ありがたいけども

カオスなニューアジアが少なからず製作側の偏見をそのまま形にしたものだとしても、自国の行動も辛辣に描いててそれも素晴らしい

自分達を世界の中心と考え自分達の価値観に合わないものは否定し侵攻し滅していく傲慢な振舞い、AIと共存して独自の生活を送るニューアジア側に心寄せて鑑賞していると、アメリカ側のお前らは神にでもなったつもりか?と言いたくなるような行動の数々
アフガニスタン侵攻を思い出したり現在進行形の世界の痛ましい争いを思ったりしてしまう、ノマドの瓦礫の処理とかどうすんだよお前らどうせやらないんだろ、落ちたところの自然破壊もお前らのせいだけどどうせ責任取らねぇんだろ、な部分も含めて

マヤの致死を決定/実行したり、終盤自己犠牲的英雄行為を選択させたりしてジョシュアにそれまでの価値観と新しく受け入れ芽生えた感情からくる価値観とからくる行動の揺らぎは善悪の括りは決してひとつではない事、大人になってからでも新しい価値観を受け入れられる事を表しているようで教育的ではある
基督教で言う天国と仏教的価値観の極楽浄土はまた違うと思うのにここでは一緒くたにされてたけど、まぁわかりやすさ重視なのか
もしくは信仰の違いを前面に押し出すとあまりにもデリケートな問題になりすぎるから徹底してアメリカとアジアを『AIに対する価値観の違い』として描ききる事で、その裏にある『現実世界での、民族/信仰的な違いによって他者を否定し、自分達に添わせる為に武力行使して良いはずがない』事に気付かせたかったのか そこまではわからない

人のミスなのにAIのせいに、とかオチが弱すぎるので別に語らなくてもよかった気がする

AIを人型にしてバイクに乗せて何かを運ばせるエネルギー効率の悪さちょっと笑ってしまった
自走式にしたらいいのに
いやAIをもうひとつの種族と考えてる世界だから監督の好きにしてもちろんいいんだけども、人間より下等とみなされる創造物/生命体がなんでもかんでもホモサピエンスに近い形をしているのってアメリカ作品特有な気がするのだよね
手足の生えたドラム缶みたいな彼らも最高に好きだったけど、いやキャタピラとかでも良いはずじゃんあれ

てか、胎児をコピーして作ったのがアルフィーだとしたらやっぱり父親はジョシュアじゃなかったというオチで良いのか

ちなみにこれをみてたらきっと将来日本が滅んでも日本語(文字)はポップでキャッチーにみえるから世界に残るのかもしれないなぁなんて思いました
縦書きで



とか書かれても誰も修正出来ないんでしょうね、だってその頃には実際日本語を使う人がいないのだもの
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