大道幸之丞

ザ・クリエイター/創造者の大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

これまたどえらい作品でした。ただし予算も惜しまず最新のSFデティールを見せつけてくれたという意味合いで。

未来の世界では「西側諸国」ではAIが禁止となっている。理由は発達したAI(この映画ではやたらに“AI”呼ばわりするが、正しくはヒューマノイドかアンドロイドだと思う。“AI”だと人工知能だけを指す事になる)LAで核爆発事故を起こした。人間に敵愾心がある——という判断だが実際は人間のデータミスが原因で“AI”に責任をなすりつけたのが真相のようだ。

ただし「ニューアジア(どうも東アジア全域の様子)ではAIは継続中で、ただし西側としては監視は必要なので、事実上敵対せざるを得ない」という状況。

主人公のジョシュア(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は西側の兵士だが敵側に侵入捜査を実行している。相手側の女性マヤ(ジェンマ・チャン)と恋仲となり夫婦になってしまっていた。懐妊もし出産を待つばかりの幸福感に包まれている最中、西側の兵士がなだれ込んでくる。ここからドラマが始まる。

——ともかく本作品は簡単に言えば「家族の絆」をメッセージにした作品と言える。失った妻(実は彼女こそが探している“クリエイター”)をとにかく探して会いたいジョシュアと、実子をコピーして制作された超能力を持つアルファ-O (アルフィー - マデリン・ユナ・ヴォイルズ)がその正体を知ってから我が子のように愛を注ぎ始める。

おまけにマヤとアルファがAI側である事から完全に西側に敵対し、絶対兵器“ノマド”を破壊に向かうジョシュア

最後はアルファの力をフルに活かしてノマドの機能停止やジョシュアが仕掛けた爆弾で破壊に成功する。その途中で研究対象で仮死状態にされていたマヤををアルファがみつけ起動させる。

ジョシュアはアルファを救うために自らを犠牲にして脱出ポッドを射出するが、ノマド上の草原で蘇生したマヤと再会する。

結局ジョシュアは一貫して“自己家族都合”でしか行動しないのだが、そこがこの“人間VS“AI”戦争に“家族の絆”という太いメッセージを横たわれせている。

ところでAI側の兵士には渡辺謙扮するハルンがいるが、彼だけ終始完全に日本語で喋っている。

人間複製タイプの“AI”たちは人間の顔ではあるが側面の耳に当たる箇所が貫通しておりセンサーのように動作しているのだが、判別しやすくさせるためとはいえ、水やホコリが入りやすいだろうにと思ってしまうのも仕方がない。

ジョシュア役のジョン・デヴィッド・ワシントンも隻腕・片足の兵士役でこれはCGで処理しているのか気になった。ジョージ・ルーカス所有のILMが特殊効果は担当しているそうだ

ただし本職の立場からすると“AI”という定義が完全に誤解を生む格好になるなあと素朴に思った。

ブレード・ランナー以降の未来都市や未来ハードウェアは充分考察されておりリアリティがあっていい。少しオタク趣味の意味合いで見応えのある映画だった。

でもってアルファは男の子とばかり思ってましたが少女なのですね(笑)