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ザ・クリエイター/創造者のaileyucaのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
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作品のアイデアやコンセプトは近未来の「What If」なディストピア的要素が満載て面白かったです。近未来的且つAI,ロボットvs人類という観点では、ドラマ「WEST WORLD」に近しい印象。STAR WARSシリーズで例えるならばラボで生まれて大活躍キッズという観点から「The Bad Batch」の惑星カミーノでナラ・セによって作られたオメガを彷彿とさせられた。謙さんのヘアスタイルもキャプテン・レックス風。

しかしながら、違和感を感じたのがアジア圏の描写でところどころに登場する日本語であろう表記が含まれたセットやプロップス。主人公がアウトサイダーとして再訪問したのを表現したかったからなのか都市のあたりはいかにも観光客がイメージする渋谷や新宿といえばのようなイメージカットがちらほら。

例えば警告表記が記された標識。
「ステイバック」「危険な場所に注意」など記されていた。「ステイバック」はカタカナではなくユニバーサルデザインの観点から共通語としての英語を記すなら「WARNING STAY BACK」等だと思うし、日本語表記にするならば「立入禁止」など。「危険な場所に注意」もあまり標識で用いない表現だったりする。
作品後半の「もういや遊牧民」とは?AIに対する考え方で人類が衝突していた話ですよね?この辺りのコンセプト設計が粗い。
作品内に散りばめられた日本語書体の選び方にも粗が目立つ。エンドロールの日本語書体はまるで寿司屋風。これがまた欧文書体やドビュッシーの音楽とも恐ろしいほど合っていない。感性は人それぞれで別に良いとは思いますが、一個人として癖のあるセリフ体同士で合わせてしまうセンスに落胆してしまいました。

期待値が高かった映画なだけあって、作品の設定等はあるかもだがネイティブチェックをちゃんとしてないのが伝わってきた観点では日本語話者として軽視された気持ちになり非常に残念だった。ロンドンで「名古屋駅」と大きなタトゥーを腕に入れたお兄さんを見たときに近しい驚きにも似ている。

この作品から感じられなかった観点での美術セットやプロップスのディテールが作り込まれた映画を観たくなりました。
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