ノラネコの呑んで観るシネマ

ペルリンプスと秘密の森のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ペルリンプスと秘密の森(2022年製作の映画)
4.2
これは、イマジネーションの密林。
森を破壊しようとする巨人たちに対抗するため、太陽と月の王国から二人のエージェント、クラエとブルーオが送り込まれる。
彼らは巨人を止める力がある原初の光、ペルリンプスを探して冒険の旅に出る。
ブラジル現代史をモチーフにした傑作「父を探して」のアレ・アブレウ監督だが、前作ほど抽象的では無く、子供向けを意識した作品になっている。
ただし、豊かな哲学性はそのままだ。
ここには直接の主題となる自然と文明の共生以外にも、戦争や貧困、差別による人々の分断などが盛り込まれていて、子供たちにとっては気付きを得られると同時に、大人たちに疑問をぶつける切掛けとなり得る。
キャラクターは可愛らしく、カラフルなアニメーションは目に楽しい。
タイトルのペルリンプスはマクガフィン的な使われ方をしているが、最終的に導き出されるソリューションには納得。
結局のところ、解決策は自分たちの中にしか無いのだ。
「巨人のふりをしていると、自分が何者なのか忘れてしまう」は深いな。