和田浩治が無実の罪を着せられたまま失踪した父を救おうと活躍するシリアスタッチの青春サスペンス。話こそありきたりだが、西河克己の職人監督としての優れた手腕を存分に楽しめる。サスペンス・パート、アクション・パート共に充実しており、細部に工夫が凝らされて編集にも抜かりがない。これまでもっぱら共演の守屋浩に歌を任せていた和田が、ここでは主題歌と挿入歌を披露しているのも注目点で、オープニングの主題歌部分では露骨に『嵐を呼ぶ男』のイメージがなぞられている。おとなしいキャラの多い日活ヒロインの中、清水まゆみの溌剌たる個性は和田浩治映画の大きな魅力の一つだ。藤村有弘のちょっと変わった使われ方も楽しい。