チッコーネ

香港怪奇物語 歪んだ三つの空間のチッコーネのレビュー・感想・評価

2.5
企画全体に独自の魅力があるかしらと勝手に期待したのだが、さにあらず。
世界中で量産されている、単なるオムニバス・ホラー。
しかし香港(中国)ではすでにシリーズ化され、人気を博しているらしい。

■『暗い隙間』
ヒロイン偏重、極ノンケ視点に支配された脚本が退屈…、「みんなが私を欲しがって困るの」といった具合。
「中華圏の女性って、もっと強いんじゃないの?」と突っ込みたくなった。
適度におしゃれで生活感のある美術や、暗めの照明はかっこいい。
クローズアップも効果的に挿入されている。

■『デッド・モール』
鑑賞動機となったのは本編、監督はフルーツ・チャン。
『美しい夜、残酷な朝』に参加した際のホラー演出は秀逸だったので、期待は大きかった。
しかし監督が同じような作品を二度撮るはずもない。
先述の『dumplings』は、どこか緩やかな時間の流れが優美なホラー小編へと結実していたが、本編はライバーを複数配置したスピーディな展開。
一人称カメラ撮影を頻繁に挿入しつつ、現在と数分前の過去を入れ子状に構成した編集で攻める。
「場所」というテーマに対し、「いわくつきのモール」を用意するセンスも面白いのだが…、短編ゆえか、脚本の核心が雑で強引なのにはどうも白けた。

■『アパート』
大して面白くない筋を無理に屈折させた脚本、睡魔に襲われる。
加えて登場する女優陣が、みな似たような二重瞼顔・セミロングヘアで混乱した。
全3編を通し最もメジャーな俳優、リッチー・レンが登場。
「ヒョロ長」という印象の強い彼が、いつの間にか胸板の厚いガチムチになっているのに驚く、高倉健そっくり。