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怪物の木こりのハルのレビュー・感想・評価

怪物の木こり(2023年製作の映画)
3.6
東京国際映画祭ではチケットが取れずに鑑賞を断念した作品。
原作は『このミステリーが凄い』の大賞受賞作という触れ込みだったので、とても期待していたが、評判はいまいちなよう…

率直に感じたのは確かに設定に無理のある部分が多い。
なので、そうした点が気になる方は恐らくダメ。
予告からも分かる通り怪物の着ぐるみがいきなり襲ってくるため、いくらなんでもこんなことを街中でやったらすぐに警察直行。
付近の防犯カメラを調べられたら一瞬でお縄だと思うし、他にも雑な部分がちらほら。
こうした違和感を脳内で排除したうえ、エンタメとして受け入れられるなら◯
藤原竜也の『22年目の告白 -私が殺人犯です』等が雰囲気的には近いかな。
あの系統を楽しめた人にはオススメできる。

といった形で先にいくつかネガティブな点をあげたが、ボクは普通に面白く感じられたし、筋が通っているミステリーに思えた。
特に良かった点はきちんと見ていれば犯人がわかるよう、伏線に根拠を有する部分。
リードがわかりやすく、鑑賞しながら自分も推理できる難易度。
難解すぎて意味不明な知的迷路に迷い込ませる映画もあるけれど、そうしたものよりは好み。

役者陣も奮闘している。
亀梨和也はYouTubeやスポーツニュースだと品の良いお兄さん&おちゃめな方だが、今作のサイコパスキャラはがっちりハマっていた。
冷徹に粛々と犯罪を犯す姿、目の笑ってない作り笑顔が“ガンギマリ”
実質2番手の菜々緒もプロファイラーとして堂に入ったお芝居。
最近、綺麗系より可愛い系に見えるのはメイクを変えたからなのかな?
こちらのほうが似合っている。

また、出番は少ないながらも、ヒロイン的な立ち位置の吉岡里帆は安定の存在感。
主演を多数こなし実績を重ねているだけあって、同世代の中ではトップクラスのキャリア。
容姿だけではなく、中身の伴った演技派女優の貫禄を発揮していた。

終盤の因果応報な締め方も理にかなっていたし、サイコ系のミステリー作品としては悪くない出来栄え。
邦画特有のチープさと三池監督の尖った演出は好き嫌いの分かれるとこだけど、そこは御愛嬌。
サイコがお家芸である韓国の突き抜け感を比較対象にしてしまうと、正直厳しいが…
元より映像化が難しいタイプの作品。
原作を手に取り補完する事で世界観や設定がスムーズに入ってくるのかもしれない。
ちなみに原作とラストは違うらしいです。
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