広島カップ

リバイバル69 ~伝説のロックフェス~の広島カップのレビュー・感想・評価

3.0
1969年9月13日、トロント大学構内のスタジアムで行われた、"伝説"といわれるロックフェスの模様を映す。

60年代の代表的なロックミュージシャンが大勢登場して来ますが、 今ではお爺さんお婆さんになった当時の関係者のインタビューがチョイチョイが入れ込まれて来て邪魔をし、各アーチストのステージをじっくりと眺めさせて貰えません。
こんなに凄い連中が出てたんダゼ!という感じで紹介程度のものになっている。まあチラ見せというのもかえって印象に残ってしまうものですが...
この大々的なフェス成立までの裏話やバックステージの苦労話なども知りたいことは知りたいけれど、やはり個性の強いミュージシャン達のステージをカメラを落ち着かせて観てみたかったというのが本音。
本フェスの約一ヶ月前、同年8月18日にウッドストックで行われたジミ・ヘンドリクスの「星条旗よ永遠なれ」のように、ビートルズに見切りをつけたジョン・レノンの「コールド・ターキー」を丸々一曲初めから終わりまでじっくりと聴きたかった。
また私が前衛芸術なんて全く解らなかった高校生の時に初めて聴いたヨーコの...
「キエア〜〜〜キェ〜ケァ〜ア〜〜〜〜キェアヮアヮ〜〜キェァァ〜〜〜、ォォォオオオ〜〜、アワ、アワ、アワ、泡..」
というパフォーマンスはやはりサワリだけの紹介だったのですが当時よりは理解できましたし、彼女がステージ上で白い袋に入ってしまいたくなる気持ちもなんとなくですが解りました。
「俺達ゃロックンロールを聴きに来てんのに東洋人のアヴァンギャルドに付き合ってる暇無いんだよ」とドン引きしている聴衆を前にして、ジョンがステージ上でヨーコを抱きしめる気持ちも理解できました。本フェスを収録したジョンのライブアルバム(Live Peace in Toronto 1969)からでは伝わらなかったシーンでした。

フェスの目玉であるジョンとヨーコを乗せた車を空港から会場まで、イージーライダー※っぽい10台以上のバイクがバリバリ言わせて大袈裟にエスコートする様子は、当時の世相をよく表していて笑ってしまいました。最初ジョンも彼等を見て警戒し思わず車のドアをロックしたそうな。
ミュージシャンはもとより聴衆の様子を見ても、当時のラブ&ピース&ドラッグ・カルチャーとしてのロックを感じさせる内容でした。
出演者の演奏よりもそちらの時代模様の方が強く印象に残りました。

※『イージー⭐︎ライダー』(デニス・ホッパー監督作品)も1969年の製作
広島カップ

広島カップ