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リバイバル69 ~伝説のロックフェス~のおりょうSNKのレビュー・感想・評価

5.0
ヨーコの奇行にうろたえるジョンは令和5年最大の見ものだった。

「リバイバル69 ~伝説のロックフェス~」
Revival69:The Concert that Rocked the World
2022年 カナダ/フランス 99分
@UPLINK京都 平日15:55〜 観客7人

金儲けじゃない。ただ音楽が好きなだけ。だからやる。

そんな学園祭レベルな動機で、後にカナダ版ウッドストックと称される「トロント・ロックンロール・リバイバル1969」をぶち上げた若き当事者の大奮闘を追ったドキュメンタリー。1969年時点で50年代のロックンロールを演ることはリバイバルだったのだ。

とは言うが、こんなフェスがあったこと自体知らなかった。カナダの情報ってよほど積極的に取りに行かないと触れる機会なかなかない。

各アーチストの演奏をもうちょっと増やしてほしいなとは思ったけど、それでも見どころは満載。

ザ・ドアーズのジム・モリソンや、ほほ無名時代のアリス・クーパーたちが、空き時間に熱心にステージを見つめる。チャック・ベリー、ボー・ディドリー、リトル・リチャード、ジェリー・リー・ルイス etc. 彼らのルーツがここにある。

とりわけ、半ばヤケクソで呼んだところ奇跡的に出演叶ったジョン・レノンに関するエピソードはやはり面白い。

来るの来ないだのとギリギリまでもめる。
カナダ版ヘルス・エンジェルズみたいなバイカー集団が空港から先導して会場に導く。
飛行機の中で適当に作ったセットリスト。
サビしか覚えてないけどなんとかなると言うジョン。
奇声をあげるヨーコ。
洗濯袋に入って無になるヨーコ。
セットリストがないと狼狽するジョン。
洗濯袋の口を開け、ヨーコを救出するのではなく彼女の手に握られたセットリストを泳いだ目でなんとか見つけるジョン。
ついていけずに黙り込む観客。
「起きろ!」と煽るジョン。
エリック・クラプトンが半ば呆れ顔なのがほんとに面白い。
このフェスで掴んだ手ごたえが、ビートルズ脱退、解散への決定打となったらしい。知らんけど。ああ、面白かった。
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