おるふ

ミッドナイトムービーのおるふのレビュー・感想・評価

ミッドナイトムービー(2005年製作の映画)
4.2
1970年から1977年にかけてニューヨークの深夜映画のブームメントを起こしたカルト映画6作品を追うドキュメンタリー。

ブームの草分けとなったアレハンドロ・ホドロフスキーのエル・トポはたった一行の《 ‘EL TOPO’ at midnight. 》という広告から毎夜長蛇の列が出来るほど口コミでの広がりを見せカルト映画の元祖となる。 
映画館の支配人達がこぞって次なる“カルト映画”を求める中、次に流行った映画はいわゆる“ゾンビ”の元祖ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』、その色彩とラストの衝撃が印象的なジョン・ウォーターズの『ピンク・フラミンゴ』、ジャマイカの監督ペリー・ヘンゼルの『ハーダー・ゼイ・カム』は“レゲエ”という未知の音楽をアメリカに持ち込み、後にボブ・マーリーの流行を生むことになる。
75年公開以来今尚その熱烈的ファンが数多くいるモンスター映画『ロッキー・ホラー・ショー』、その後公開のデヴィッド・リンチの『イレイザーヘッド』。このロッキー・ホラー・ショーとイレイザーヘッド頃からは、今までその暴力性や視覚的なグロさから不当な評価を受けてきた深夜映画が、その映像美、音響等に映画としての真の評価を受けられるようになって、深夜映画が観客の見る目を良い方向に変えていったのだなと思う。

当時の大麻の煙りがモクモクの映画館の中で、映画に“トリップ”してしまう感覚は70年代でしかありえないだろうし、むしろそんな映画体験をしてみたい気持ちも正直あってとてもうらやましい。しかも今の映画の在り方、60年代の“生真面目な映画”から何歩も進んだ芸術性を深夜映画に見いだした当時の若い世代の人々には本当に感謝できる。

この手のカルト映画好きとしては、まだ未見の「ハーダー・ゼイ・カム」を観てみたいのだが、希少価値が高いのかセルDVDでも8000円以上するのは、ちょっとイタい。。。
おるふ

おるふ