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エルドラド ナチスが憎んだ自由のsabumasaのレビュー・感想・評価

3.9
多様な性に対して寛容だった1920年頃のドイツが、ナチスの台頭により次第にその自由を失っていく様を、かつてあったエルドラドという名前のクラブという切り口から描いたドキュメンタリー。
 
ここには軍人だったりアスリートだったり、あるいは世界で初めて(←この言い方はちょっと記憶がおぼろげ)の性別適合手術を受けた人のひとりも出入りしていたり、色んな人がいる。

この映画から受けた印象だが、ヒトラーの盟友だったエルンスト・レームは自身の性的指向を権力争い(あるいは政治的)に利用され、粛清されたように思える。

レームの排除に成功した時、そのクラブはすでになくなっていた。まるで消え去るように。
拠り所を失った人達のその後、そして戦後が辛い。


で、映画からはそれるのだが、少し前、性的指向は政治によって作られると言ってる人がいた(彼は、クィアやヘテロというカテゴライズ自体に意味を見出しておらず、好きになりたい人を好きになるのに何の問題があるのか…という考え方をしてるようだ、という前提は一応書いておきます)のだけど、ある意味でものすごく的確な指摘だと思う。
観てる間、今の日本を思い浮かべながらこの言葉を思い出していた。
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